FeSr2YCu2O6+δは、60 Kで超伝導、20 KでFeの反強磁性が発現する磁性超伝導体で、親物質Ba2YCu3O6+δとは異なる性質を示す。FeをCuで置換すると、置換量40%以上では強磁性は観測されず、30%付近でTcが極小値を持つ。Yを希土類元素で置換すると、TcはYのときに極大値を持ち、Yとのイオン半径の差が大きくなると低下する。二次元的な磁気秩序を示すTbではこの依存性から逸脱して、Tcが28 Kに低下する。FeSr2YCu2O6+δの2 Kでの粒間臨界電流密度はわずか1.7 A/cm2で、Feの強磁性と希土類元素の磁性が磁束状態に影響を及ぼし、超伝導特性が大きく変化している。
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