研究課題
高度好塩菌から得られる光受容膜タンパク質バクテリオロドプシン(bR)は動物の視物質に類似した機能を有し、電極と電界液界面のbRに光を照射すると時間微分応答の光電流が得られる。本研究課題ではbRの野生型と遺伝子組み換えによる変異体の光応答特性が異なることに着目し、両者を組み合わせたバイポーラ型光センサーをアレイ型に構築することによりオプティカルフロー(相対運動する物体の速度場)の演算機能を有する高機能のセンサーを開発することを目的としている。オプティカルフローは昆虫が対象や自身の動きを瞬時に知覚するための視覚情報機能であり、本研究で得られる成果を自律移動型ロボット、超小型ロボット、ドローン等の運動制御に適用することが可能である。本年度は、bRの野生型と変異体の各薄膜の膜厚を制御して、バイポーラ型8x8画素2次元アレイ型センサーの特性の改良を行った。この結果、オブジェクトの動きに対するオプティカルフローのカーブを動的に検出することに成功し、実験結果の分析と評価を行った。従来のデジタル技術による複雑な計算処理を用いた方法に比べて簡単にオプティカルフローを検出することができ、センサー自身は無電源で動作することから、上述のようなリアルタイムの運動制御等に極めて有利である。併せて、バーコーティング法、インクジェット法による効率的なbR薄膜作製に関する研究とbR光センサーの高感度化に関する研究開発も行った。得られた研究成果については、国内外の学会、国際会議で報告した。
特許取得:「オプティカルフローセンサ、光センサ及び光電変換素子」笠井克幸、片桐祥雅、国立研究開発法人情報通信研究機構、特許第6085775号、登録日 平成29年2月10日、出願日 平成24年12月11日
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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