研究課題/領域番号 |
26390053
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
市野 邦男 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90263483)
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研究分担者 |
阿部 友紀 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20294340)
大観 光徳 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90243378)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ワイドバンドギャップ半導体 / p型 / ZnMgSTe混晶半導体 |
研究実績の概要 |
(1) p型ZnSTe:Nにおける正孔濃度,価電子帯上端エネルギーのTe組成依存性の解明:平成27年度に引き続き,キャリア密度の増大・抵抗率の減少を図りつつ基礎データの収集を図った.結晶性を向上させた結晶においてはTe組成15%程度以上でp型伝導が得られ,価電子帯上端エネルギーとの相関が示唆された. (2) ZnMgSTe 4元混晶の作製条件の検討:引き続き,ベースとなるZnSTeおよびZnMgSの3元混晶の分子線エピタキシー成長において結晶の高品質化を図り,4元混晶の成長条件検討のための基礎データを収集した.ZnSTeの作製においては,ZnS極薄バッファ層の利用に加えてS原料供給量を抑制して成長速度を抑えた条件で,さらなる結晶高品質化が得られた.この成果については,国際学会および論文誌で発表した.一方,ZnMgSの作製においては,基板温度を高く設定することでさらなる結晶高品質化が得られた.これらの結果は本研究で目的とするZnMgSTe 4元混晶の各構成元素を用いて高品質結晶が作製可能であることを実証したものであり,重要なステップとなるものである.これらの双方を包含する条件で4元混晶の作製が可能と考えられるが,必ずしも両立しないため高品質ZnMgSTe 4元混晶作製の条件をさらに検討中である. (3) p型化促進の理論的モデルの検討・Mg/Te組成設計:(1)の結果をもとにZnMgSTe 4元混晶への拡張を検討した.今後ZnMgSTeの作製・評価を通じて実験的にも検証していく. (4) p型ZnMgSTe:Nの作製と正孔濃度およびバンドギャップの最適化:ZnMgSTe 4元混晶への系統的なNアクセプタ添加・p型特性の評価については,現在のところ予備的な段階に止まっているため平成28年度にも引き続き検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ZnMgSTe 4元混晶の作製について,ベースとなる3元混晶の作製条件を詳しく検討したため,当初の2年目の計画と比べてやや遅れている.しかし,その結果を応用して4元混晶の作製・p型化を効率的に進められると考えられ,全体としては当初計画通りに進められると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初計画に沿って順次研究を進める. (1) ZnMgSTe 4元混晶の作製条件の検討:引き続き検討し,高品質4元混晶を作製する. (2) p型化促進の理論的モデルの検討・Mg/Te組成設計:理論的・実験的に検討する. (3) p型ZnMgSTe:Nの作製と正孔濃度およびバンドギャップの最適化:系統的なNアクセプタ添加・電気的特性評価を行い,知見を得る. (4) 発光ダイオード(LED)の設計・試作:前項までの結果を総合し,LEDを試作して本研究の目的を実証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
わずかに未使用額が生じたが,ほぼ計画通りである.
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次年度使用額の使用計画 |
多額ではないので,次年度助成額と合わせて活用する.
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