シリコンウェーハに対して高温熱処理を施し、ウェーハ中の単原子空孔濃度が熱平衡濃度に達している状態を実現した。この高温熱平衡状態からウェーハを急冷凍結した。急冷ウェーハに対し、低温超音波計測の方法によって、低温における弾性定数C44のソフト化の振る舞いを計測した。計測されたソフト化のデータから単原子空孔濃度の絶対値を決定した。この値を用いて、単原子空孔の形成エネルギーの評価を試みた。得られた形成エネルギーの値は従来の常識的な値よりは小さめであったが、その不一致の理由を明確にすることができた。この点を改善すれば、本実験方法の延長線上で、単原子空孔の形成エネルギーを正確に決められる見通しが付いた。
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