電気二重層トランジスタの手法を用いて、SrTiO3 (001)表面に2次元電子系を電界誘起し、その磁気特性を研究した。この物質はバルクでは非磁性体として知られるが、1格子面積当たり0.15個以上という高電子密度において、表面電子系が通常強磁性体膜で観測される異方的磁気抵抗効果やプレーナーホール効果を示すことを発見した。詳細な磁化および磁場中輸送特性の磁場方位依存性の測定、ゲート電圧を用いた電子系に対する電界制御の実験により、これらの効果が磁気秩序によるものではなく、Ti-3d電子系特有の多軌道混成効果により増強されたラシュバ型スピン軌道作用を起源とするスピン整列現象によることを明らかにした。
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