従来のトップダウン加工技術であるリソグラフィー技術は、微細加工精度の限界が近づいている。一方で、リソグラフィー技術による微細加工は、大量生産に対して大きな課題がある。最近、固体表面上のナノメッシュ構造をテンプレートとして利用することにより、大きさのそろった金属ナノ粒子を高密度で規則的に創製できることがわかってきた。 Pd(111)表面上に作製した酸化バナジウムナノメッシュにパラジウム、ルテニウム、金、銀、銅、ニッケル,白金の7種類の金属を蒸着した。銅やニッケルは蒸着初期においてもナノメッシュエッジにてクラスターを形成し、ナノドット内へ収まることはなかった。金、銀、白金、パラジウム、ビスマスは、逆にナノメッシュエッジに吸着してクラスターを形成することなく、ナノドット内におさまり、ナノドットのみを形成した。なお、金原子が隣接するナノドットに浸入すると酸化バナジウムナノメッシュが破壊することが判明した。平成28年度は、2種類の元素からなる合金ナノ粒子が作製できること、また、ナノ粒子の平均組成や大きさや数密度が制御可能であることもわかってきた。一方で、酸化バナジウムナノメッシュの構造安定性が高くなく、超高真空環境下においても残留ガスと反応し、崩壊することも明らかとなった。そこで、酸化バナジウムナノメッシュにかわる材料として、スズからなるナノメッシュ格子の創製研究と酸化セリウムからなるナノメッシュの作製と構造解析研究を行った。Ag(111)表面上において、スズからなるナノメッシュ格子が形成されることがわかった。また、Rh(111)表面上において、酸化バナジウムナノメッシュ原子層膜がナノメッシュ構造を形成することがわかった。
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