研究実績の概要 |
平成29 年度は、まず、昨年Si不純物混入で十分な検討のできなかったTiO2 薄膜について、対向ターゲットスパッタ装置のマグネトロン磁場をプラズマ閉じ込め型に変更した。これを用いてTiO2薄膜を作製し、Si混入のない薄膜が形成できることが分かった。さらに、この薄膜の酸素欠陥に酸素を補うため、O2の大気圧プラズマ処理を試みた。このとき、基板温度を300℃程度に上げてプラズマ処理を行うと、薄膜の結晶構造がブロンズ型からアナターゼ型に変化し、光触媒特性が未処理のものと比較して数倍増加することが分かった。またこの時の光分解レートの純量は、TiO2超微粒子のそれを上回るころが分かった(R. Kawakami et al., Vacuum 152, 265 (2018))。 n-GaNをCF4プラズマ処理した試料について、C-V測定と定常光容量分光法を用いて50~150 nmの深さに有効キャリア濃度の減少があることが分かった。これは、Ga欠損が薄膜内部に拡散したものである。このVGは、2個の水素がトラップされた化学種で、伝導帯の底部より3.24 eV低い順位にあることが分かった。 AlGaN試料をN2およびO2プラズマで処理した試料では、N2プラズマの方がダメージが大きく、結晶が乱れる。これは、N2プラズマでは3.68 eVおよび3.96 eVのUV光が発生してN欠陥ができるのに対して、O2プラズマではUVの発生が無いためであると考えられる。しかし、高い圧力領域では、O2プラズマダメージも大きくなり、特にGaと比較してAlの欠損が多く発生して、ピット状に表面欠陥を形成する。
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