研究課題/領域番号 |
26390071
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
内藤 裕一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (80392637)
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研究分担者 |
金子 晋久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 研究グループ長 (30371032)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 走査型プローブ顕微鏡 / ヘリウムイオンビーム / グラフェン / アンダーソン局在 |
研究実績の概要 |
現在の情報化社会においてコンピュータをはじめとする情報通信機器の超高性能・極低省電力化は欠かせない。すでにその物理的限界が近いと言われながらも、未だこうした情報通信機器の超高性能・極低省電力化を担うのは半導体超高集積回路の基本要素デバイスであるシリコンベースの電界効果トランジスタ(Field Effect transistor: FET)である。FETの物理寸法は、そのゲート長がいまや十数nmまで縮小されており、商用FETのチャネル電流ですら、少数ドーパント原子の離散的な分布がその輸送特性に影響を及ぼしている。例えば、離散的なドーパント原子の並び方が、FETのチャネル電流特性のゆらぎの主な原因になっているという報告もある。 いっぽう、半導体表面近傍に離散的に存在する少数、あるいは単一のドーパント原子が持つ特有の電子機能を積極的に見出して活用しようとする試みは、”Solitary Dopant Electronics ”と呼ばれ、現在世界的に研究が活性化しつつある分野である。研究の提案者は、H27年度はGaAsへき開表面・Siの表面観察の難しさから、低温走査型トンネル顕微鏡と走査プローブ顕微鏡を用いたグラフェン表面観察にシフトした。その結果、ヘリウムイオンをドープしたグラフェン上で、アンダーソン局在による抵抗変化が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
低温走査型トンネル顕微鏡はスクロールポンプが一回、ターボポンプが2回故障し、真空系のトラブルが頻発した。また試料準備室が無いため、原子分解能に十分なGaAsへき開表面・Siの表面出しが難しい。
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今後の研究の推進方策 |
今後はグラフェンを対象に、伝導特性を一変させるヘリウムイオンドーズによる単一欠陥観察と有限サイズ系のアンダーソン局在効果の観察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率の良い購入を進め、使用総額を抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプル、および低温走査型トンネル顕微鏡用の消耗品購入のため。
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