本年度はより簡便に作製可能な波長可変単一モードレーザとして、周期的スロット構造および高次結合ディープエッチDBRグレーティングを採用したレーザの試作と評価を行い、またこれらを光源として用いたテラヘルツ波発生用波長可変2波長集積半導体レーザの設計、試作を行った。 1.周期的スロット構造波長可変単一モードレーザ スロット幅0.55ミクロン、周期10ミクロン、スロット数30の周期的スロット構造を有する単一モードレーザを作製した。活性領域とスロット構造領域へ個別に電流注入できる構造とすることで、大幅な出力パワーの変動なく波長可変特性を実現することを目指した。作製したレーザから発振波長782nm付近で良好な単一モード発振が得られ、また25dB以上のサイドモード抑圧比を維持したまま2.6nmの波長可変範囲を達成した。 2.高次結合ディープエッチDBRレーザ 周期1.25ミクロン、溝深さ1.55ミクロン、DBR長200ミクロンの10次結合ディープエッチDBRグレーティングを用いた単一モードレーザを作製した。DBR領域にも電流注入を行うことで、波長可変特性の実現を目指した。出射端面の無反射コーティングが不十分であったためにFPモード寄生発振が生じ良好な波長可変特性は得られなかったものの、駆動条件によってはサイドモード抑圧比30dB以上の単一モード発振が得られた。 3.波長可変2波長集積半導体レーザ 上記の単一モードレーザを採用することで、これまで実現してきた2波長集積レーザと比較して大幅な作製プロセスの簡略化を図った2波長集積レーザの作製を行っている。
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