研究課題/領域番号 |
26390100
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
水野 誠司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90222322)
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研究分担者 |
田中 之博 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00281791)
西口 規彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40175518)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フォノン / フォノニック結晶 / ナノワイヤー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Ⅲ-Ⅴ族半導体から構成されるワイヤー型フォノニック結晶(ナノワイヤー超格子)のフォノン分散関係(格子振動状態)をモードごとに効率よく計算するアルゴリズムを開発し、GaN/AlNナノワイヤーの基礎的なフォノン物性(格子振動特性)を明らかにすることである。昨年度は、超格子構造を持たないナノワイヤー(プレーンナノワイヤー)に適用できるプログラムの開発から始め、GaNプレーンワイヤーのフォノン分散関係を計算し、異方性の効果を議論した。引き続き、今年度は以下の研究を行った。 ①まず、昨年度に作成したプログラムに対し、超格子構造を持ったナノワイヤーに適用できるように改良を行った。その際、一般化固有値方程式の行列要素は、プレーンワイヤーの場合と同様にベータ関数を用いて解析的に表せることを示した。このプログラムを用いて、GaNとAlNからなるナノワイヤー超格子の分散関係の計算を行った。 ②本来、GaNのような圧電性物質に対しては、分極場と変形応力場の相互作用を考慮した計算を行う必要がある。この計算は複雑となるため、まず第一近似として、ワイヤーの厚さが薄い場合を考え、ワイヤーの面内方向には電場は一様であると仮定し、圧電テンソルを弾性テンソルに繰り込んだ表式を導出した。有効弾性テンソルの表式をGaN、AlNに適用してその効果の大きさを見積もったところ、圧電性の効果は最大で100分の1程度の寄与にすぎないことがわかった。ただし、今回の近似では、ワイヤーの半径方向のフォノンの閉じ込め効果が含まれていない。 ③そこで、分極場と変形応力場の相互作用をとりいれるために、固有値方程式を導くようなラグランジアン(境界条件がすでに組み込まれたもの)をあらためて構成し変分問題を設定する試みを始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度開発したプログラムを,軸方向に周期性を持ったナノワイヤー超格子に適用できるように改良し、数値計算の結果が得られるようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で用いた数値計算方法は、変分法に基づく数値計算法であるが、その第一の特徴は、与えられた一般化固有値問題を解けば、得られた解が表面における境界条件を満たしているというところにある。次年度は、分極場と変形応力場の相互作用を考え、このような固有値方程式を導くようなラグランジアンをあらためて構成し変分問題を設定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席予定のシンポジウムが、諸事情により延期となり、 予定していた外国旅費および参加費等を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
そのシンポジウムが来年度に開催されるので、その参加費と旅費に用いる。
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