研究実績の概要 |
パイプは生活インフラの中で広く使われている。それら安全性の確保や半導体や医薬品の性能や信頼性の向上と低価格化のためには非破壊検査や高精度な超音波流量計の開発が必要である。パイプの検査効率向上や超音波流量計の高精度化にはパイプを伝搬するガイド波の解析が必要である。本研究は、パイプを伝搬するガイド波のモード解析を行うことを目的としている。これまでに、著者等は内部に流体を満たした固体パイプを伝搬するガイド波の解析解、実験、軸対称FEMによる解析および、それらを応用した超音波流量計の開発等を行ってきた。ガイド波のモードの分類には変位の分布を知る必要がある。変位の分布の解析解は得られているものの、実験での検証は難しく、軸対称FEMとの比較しかできていない。しかし、実際の実験では軸対称だけでなく、面対称の変位分布を持つモードの励起効率も高い。また、面対称の変位をする場合のモードの分類法も複数ある。そこで、円筒座標系に対応した3D-FEMのプログラムを開発し、内部に水を満たした外径34mm内径28mmのステンレスパイプを伝搬するガイド波の変位が面対称あるいは軸対称になる場合のシミュレーションを行った。その結果、解析解と良い一致を見た。そこで、変位が面対称になるモードを詳細に調べたところ、分散曲線同士が交わることはなく、同一曲線上のモードであっても周波数で特性が大きく変化することが確認された。面対称モードでは、円周方向の変位が中心になるT-modeとたわみのF-modeは分離できなかった。そのため、中空および内部に水を満たしたパイプを伝搬するガイド波は軸対称モードのL-modeとT-mode, 非軸対称モードのF-modeの三種類に分類されると結論づけた。
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