今年度はパラメトリックX線生成に必要な電子線の生成を試みている。数TWクラスの超短パルス高出力レーザーを使用し、ガスターゲットとの相互作用で生成する相対論的電子ビームの特性評価を実施した。その結果、ターゲットガスの種類によって生成される電子ビームの特性に違いがある事が明らかになった。Heガスをターゲットにした場合は電子エネルギーは10MeVとエネルギーは少し低いが、レーザーショット毎の安定性も高いという傾向が見られる。他方、窒素ターゲットを利用すると20MeVの高エネルギー電子生成が確認できる反面、レーザーショット毎の再現性が悪い事が確認出来た。 次にパラメトリックX線の応用研究を見据え、パラメトリックX線のビーム品質を上げる手法に関して検討を行った。着目したのは細いガラスチューブが束になっているキャピラリーレンズという光学素子である。このパラメトリックX線のような高指向性のX線をキャピラリーレンズに導入すると、キャピラリーレンズ内壁で全反射を繰り返すうちにビーム整形される。そこで、キャピラリーレンズの形状次第で、X線の集光や(準)平行ビームの生成が可能になる。さらに全反射が起きる条件である臨界角はX線のエネルギーに反比例する事から、高エネルギーX線をカット出来る事もわかった。研究代表者はキャピラリーレンズを手配済であり、生成したパラメトリックX線の利用研究の準備も進めている。 その他、パラメトリックX線の計測で使用する2次元シンチレーションアレイ計測器のデータ収集プログラムの改良も行った。
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