研究課題/領域番号 |
26390118
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
酒井 卓郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (70370400)
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研究分担者 |
石井 保行 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究主幹 (00343905)
佐藤 隆博 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (10370404)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 蛍光板 / イメージング / 細管構造 / 蛍光体 / 高分解能 |
研究実績の概要 |
蛍光板は、X線・荷電粒子・中性子などの強度分布を可視光に変換する検出素子として広く利用されているが、その空間分解能は蛍光体自身の厚さによって大きく制限される。本研究においては、微細な柱状構造を有する「高感度かつ高分解能な蛍光板」を開発し、本蛍光板を用いて中性子ラジオグラフィなどイメージング技術の高解像度化を実現することが目的である。 平成27年度においては、イオンビーム露光技術を用いた柱状構造体の作製と平行して、細管構造を有するガラス基板であるキャプラリプレートに蛍光体粉末を充填した蛍光板の試作を行った。その結果、前者の方法では蛍光体層の厚さは利用するイオンビームの飛程(~数100μm)に制限されるのに対して、後者の方法では使用するガラス基板の厚さで決まり、1mm程度まで厚くすることも可能であることが判った。また、細管の直径もφ10~25μm程度のものを選択でき、比較的簡便な手法で大面積の蛍光板に加工する事が可能なことから、この手法で試験用の蛍光板を作製することにした。試作した蛍光板は、光学顕微鏡・走査型電子顕微鏡で表面・断面を観察し、蛍光体粉末が細管内に一様に充填されていることを確認した。 さらに、小型X線源により空間分解能の評価を行った。その結果、細管ピッチと同程度の30μm程度の分解能を有することが確認できた。また、発光の一様性も良好で、高分解能の蛍光板として利用出来ることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに、キャプラリプレートに蛍光体粉末を充填した蛍光板の試作を行い、良好な結果を得た。現在までに、研究炉JRR-3の再稼働が遅れているため、中性子による評価実験を行えていないが、代替にX線を用いることで、試作蛍光板の空間分解能評価を行った。その結果、目標とする10μmには届いていないが、細管ピッチと同程度の30μmを達成しており、より細かい細管ピッチのキャプラリプレートを利用することで高分解能化を達成する目処をつけた。 また、中性子用蛍光板の作製に関しては、中性子補足体の入手を完了しており、最終年度中に作製・評価する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、蛍光板の試作を続ける。具体的には平成28年度においては、中性子補足体であるホウ素を含むホウケイ酸ガラスを材料としたキャピラリプレートを基板とした蛍光板の作成を行う。さらに、10B濃縮のホウ酸水を蛍光体層に含浸させることで、中性子の検出効率向上を図る。作製した蛍光板に関しては、前年度と同様、小型X線源を用いて評価を行うほか、中性子ビームによる評価も行う。中性子源に関しては、研究炉JRR-3の再稼働が当初見込みよりも遅れているが、その他の中性子源(J-PARC/MLF, RANS, KUR)の利用も検討している。 さらには、イメージングによる応用研究を行うグループとも連携して、さらなる研究の展開を図ってゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた物品の仕様が変更になったため、その必要性を検討した結果、次年度に購入した方がより有効に利用出来ると判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度において、蛍光板の製作に必要な治具等の購入に利用する予定である。
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