研究課題
2011年3月11日の東日本大震災によって引き起こされた津波により,東日本は甚大な被害にみまわれた.構造物への被害は,水圧によるだけでなく,浮遊する瓦礫が構造物にぶつかり構造物に被害を及ぼすケースが多くあった.我々は,津波による構造物への被害を検討する際には,津波の遡上計算を行うだけでは不十分と考えており,浮遊物の衝突を含んだ解析が必要であると考えている.そこで本研究では,東日本大震災での浮遊物よる津波被害を再現できるソフトウェアを開発し,オープンソースソフトウェアとして公開することで,浮遊物による津波被害の減少に役立てることを目指す.2014年度の最大の研究成果は,「分散メモリ並列EMPSライブラリ LexADV_EMPS v0.1-b」のベータ公開である.LexADV_EMPSは,粒子法のための分散メモリ並列計算に必要とされる,動的負荷分散機能と隣接間通信機能を備えたライブラリである.アプリケーションとしては,MPS陽解法にポテンシャル表面張力モデルと流体剛体連成機能が実装されている.2015年度以降は,LexADV_EMPSを元に機能拡充を行っていく予定である.物理モデルの研究開発では,LexADV_EMPSとADVENTURE_Solidの連成インターフェイスを作成し,MPS陽解法とFEM線形弾性体解析の連成解析が行うことが可能となった.また,本研究課題で解かれる,気仙沼港の実地形,構造物,第18共徳丸のモデルを航空測量データと航空写真から作成し,試解析を行うことができた.高精度モデルの導入では,LSMPS法を実装しベンチマークテストを行うことで精度の検証を行った.計算アルゴリズムでは,GPUとMIC向け実装を行い,GPUのカーネル演算でピーク性能比24%を達成するに至った.2014年度は,交付申請書に記載した研究計画の通り研究開発を進めることができた.
1: 当初の計画以上に進展している
2014年度は,交付申請書に記載した研究計画の通り研究開発を進めることができ,順調に研究開発が進められているため.
現在のところ,順調に研究開発が進められているため,このまま交付申請書に記載した研究計画の通り研究開発を進める予定である.
旅費の一部を他の研究費で賄うことができたため。
解析モデル作成に利用する予定である。
著作権登録したオープンソースソフトウェアを公開しているWEBページ
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Journal of Advanced Simulation in Science and Engineering
巻: Vol. 1, No. 1 ページ: 16-35
10.15748/jasse.1.16
巻: Vol. 1, No. 1 ページ: 5-15
10.15748/jasse.1.5
Computer Modeling in Engineering & Sciences
巻: Vol.101, No. 4 ページ: 229-247
10.3970/cmes.2014.101.229
http://adventure.sys.t.u-tokyo.ac.jp/lexadv/