研究課題
平成27年度は,京コンピュータの一般利用枠に採択されたため,京コンピュータでのノード内とノード間のチューニングを行った.ノード内のチューニングでは,キャッシュスラッシングが低い確率ではあるが発生することが判明したため,データを格納している配列をマージすることで,キャッシュスラッシングが発生する確率を大幅に低下させることに成功した.ノード間のチューニングでは,隣接間通信にIsend-Irecvを用いると24,576ノード以上では"Unexpected Message" が多発し,メモリを消費しすぎてデッドロックが発生する問題を,Alltoall_vを用いることで回避することができ,72,000ノードまでの実行が可能となった.10億粒子モデルを用いて,京コンピュータ48ノードから12,288ノードのスピードアップ値225.8(理想値256)を達成することができた.気仙沼の第18共徳丸が遡上解析する解析を,平成26年度はFX10の96ノードで1ヶ月以上掛かっていたが,平成27年度は京コンピュータの4800ノードを用いることで3日以下に短縮することができた.本成果によりノード数を増やすことで,実用的な時間で津波解析を行うことが可能となった.粒子法の圧力ポアソン方程式の求解の際に,計算が高速な行列の保存型と省メモリな行列の非保存型を比較することで,計算速度とメモリの使用量のトレードオフを確認した.さらに行列の反復解法の前処理に,Plain Aggregation AMG法を適用することで,100万粒子の問題で約7倍の高速化を実現することに成功した.今後は,一般の問題への適用に向けて開発を進める予定である.線形弾性破壊解析に関しては,予備解析を開始し,平成28年度実施予定の連成解析に向けて開発を進めた.
2: おおむね順調に進展している
平成27年度に,一般公募により京コンピュータの一般利用が採択された.この採択により,当初の研究計画を一部変更して,京コンピュータ向けの研究開発を進める代わりに,平成27年度に行う予定であったMICのネイティブ実行の実装を,本研究課題の成果として見送ることにした.これは,プロダクトランとして行う予定であった,東京大学/筑波大学Post T2K(Oakforest-PACS)が平成28年12月1月に導入予定ということがあり,本研究課題で完了するのが困難であると判断したためでもある.それ以外の研究項目は当初の計画より先行して研究開発が進められている。
MICのネイティブ実行の実装を,本研究課題の成果としては見送ることにし,代わりに京コンピュータ向けのチューニングを行ったこと以外は,順調に研究開発が進められている.平成28年度は,プロダクトランに向け研究開発を進める予定である.
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Computational Particle Mechanics
巻: Volume 2, Issue 3 ページ: 261-272
10.1007/s40571-015-0059-2
巻: Volume 2, Issue 1 ページ: 91-108
10.1007/s40571-015-0039-6
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10.1007/s40571-015-0037-8
Journal of Advanced Simulation in Science and Engineering
巻: Vol. 2, No. 2 ページ: 235-254
10.15748/jasse.2.235
Transactions of Japan Society for Computational Engineering and Science
巻: No.20150012 ページ: -
http://adventure.sys.t.u-tokyo.ac.jp/lexadv/