研究課題
最終年度の研究成果としては、大規模分散メモリ並列粒子法フレームワークの開発と気仙沼湾付近の鉄道施設に対する津波被害の定量的/定性的評価を実施した。大規模分散メモリ並列粒子法ソフトウェアの開発では、Cray XC30のIntelコンパイラ向けチューニングにより、対象箇所で1.5倍の高速化、全体で1.3倍の高速化を達成することができた。高精度なMPS法の半陰的解法の実装も行い、①微分演算の適合性、②ポアソン方程式の収束性、③ポアズイユ流れによる速度の検証、④液滴伸長解析による圧力の検証、⑤ダムブレイク解析による圧力の妥当性確認、⑥静止流体における剛体の浮力の検証、⑦複数剛体の接触挙動の確認の7項目のV&Vを実施した。気仙沼湾付近の鉄道施設に対する津波被害の定量的/定性的評価では、3段階のズームアップ解析を実施して、津波波源から気仙沼市街地にある駅舎に対して津波波圧を外力とした構造解析を実施した。流体には直径10cmの粒子を1.8億粒子用い、駅舎には要素サイズ5cmの有限要素メッシュを用い、400秒間の解析を実施した。駅舎がドアと窓が全て閉まっている構造の場合は、全て開いている構造の場合に対して最大相当応力を比較すると、解析終了時点で5.5倍の相当応力がかかることが確認できた。今回解析対象とした駅舎は、ドアと窓が全て開いている構造であったのが、大きく浸水被害を受けたにも関わらず原型を留め倒壊を免れた要因であると推測できた。浮遊物に関しては、33台の乗用車を配置し、駅舎の周りを浮遊する解析を実施し、乗用車の浮遊状況を確認することができた。研究期間を通しては、大規模分散メモリ並列粒子法フレームワークの開発によりLexADV_EMPSをオープンソースで公開し、流体構造連成解析手法の開発により津波波力による地上構造物の構造健全性を評価できる解析基盤の構築に成功した。
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