研究課題/領域番号 |
26390134
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
中林 靖 東洋大学, 総合情報学部, 教授 (00349937)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | AR / リアルタイムシミュレーション / 画像認識 / 計算力学 / スマートフォン / Androidアプリ |
研究実績の概要 |
本課題の三年目である平成28年度は,前年度に引き続きARカメラの実現のために必要な基礎的な技術を確立するとともに,これまでの成果をスマートフォン用のAndroidアプリケーションとして実装してARカメラのプロトタイプを作成することに重点を置いて研究活動を行った.具体的には以下の通りである. これまでに既に開発を行ってきていた応力カメラのシステムはデータを処理するサーバと通信する必要がないスタンドアロン型のAndroidアプリケーションであり,画像の取得から二値化による形状取得,応力解析,可視化までの全てのプロセスをスマートフォン上に実装するものである.これらの処理は非常に重たいため,現時点では二値化の精度や応力解析の速度などが不十分であり,あくまでもプロトタイプであるが,最終的なARカメラ完成へ向けて極めて見通しが良くなった. 個々の技術開発では,まず,二値化処理に画像認識アルゴリズムを導入しARカメラに適用した.また,単なる画像認識技術だけではなく,機械学習を用いたより高度な画像認識技術の導入が必須であり,現在取り組んでいる.また,応力解析の高速化については,二次元平面ひずみ問題に特化したボクセル有限要素法の開発を行い,これにより解析時間が大幅に短縮できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5年間の研究機関の3年目でプロトタイプが完成して実際に動いており,残り2年間の研究見通しが立ったことがまず挙げられる .このプロトタイプにより,これまで開発を進めてきた個々の技術の評価や問題点の洗い出しなどが非常に捗り,次年度以降に研究成果を挙げやすい環境が整った.Deep Learning等の最先端の技術を導入するなどの当初予定になかった内容まで踏み込んでいるが,その部分はまだ始めたばかりなので,総合的に判断して「(2)おおむね順調に進展している。」という自己評価を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様に,研究計画に沿った研究の推進を行うことを基本とする.また,今年度大きな成果が上がったAndroidアプリケーションとしてのシステムのプロトタイプ実装結果により,最終的にターゲットとしているARカメラシステムについてこれまで見えていなかった様々な問題点が明らかになってきているので,それらを整理分類して今後の方針を慎重に検討する必要も出てきている. 本研究の基盤技術である画像認識技術の部分については,単純な画像処理だけでは限界があることが既に明らかになっているため,今後はディープラーニングも含んだ種々の機械学習的なアプローチの導入を目指すことになる.この分野は非常に先端的な技術で期待される成果も大きいが,同時に研究進捗上の困難に突き当たる可能性もあるので,研究計画通りに進むように慎重に検討していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に,本務先の大学を1年間離れて英国の大学に滞在して研究活動を行った関係で,本年度は国内で落ち着いて研究を推進する方針に変更した.このため,本来予定していた国際会議参加のための海外出張を取りやめた.
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次年度使用額の使用計画 |
成果が多くなってきたので国際会議等で複数回発表をする予定である.また,最終年度に向けて開発環境を整備するために計算機や実装機器であるタブレットPCの購入を予定している.
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