研究課題/領域番号 |
26390135
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
生野 壮一郎 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 准教授 (70318864)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メッシュレス法 / 大規模連立一次方程式 / 並列化 / 電磁界解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,従来有限要素法や境界要素法で用いられる有限要素,境界要素生成とそれらの要素を用いて構成する補間関数という2つの作業を完全に切り離し,要素の概念を全く用いないメッシュレス法を開発することである.また,同方法を次世代並列分散処理用アーキテクチャを用いて高速化することである.本年度は次の研究成果を得た.
1)メッシュレス法とFinite-Difference Time-Domain (FDTD) MethodをベースとしたMeshless Time-Domain Method (MTDM)を開発し,S字,U字導波路内の電磁波伝播解析を行った.MTDMはFDTDをベースとした手法であるため,完全陽解法でありCFL条件と同様の安定条件を内包している.しかしながら,同手法はメッシュ構造を持たないため,通常のCFL条件を導出することは不可能である.本年度の研究では,1次元ではあるが,解析的に安定条件を導出し,その安定性を数値的に評価した. 2)MTDMで補間関数を生成する際,従来はMoving Least Square (MLS) 近似を用いていた.しかしながら,1)で導出した安定条件を満たしているにも関わらず,十分な安定的な計算が実現できなかったため,新たにInterpolating Moving Least Square (IMSL) 近似を用いて計算を行った.その結果,従来法に比べてクーラン数を大きくとっても安定的に計算できることを確認した.
一方,陰的に方程式を解く際にメッシュレス法を適用した場合,得られる連立1次方程式の条件数は未知数の増加に伴い,増加することがわかった.そのため,従来の反復法では収束解を得ることができず,本件に関しては,継続研究課題とする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要欄に記したように,メッシュレス法とFDTD法をベースとしたMTDMの開発とその安定性解析,さらには,安定性の向上を図るための新たなIMLS法の適用を行い,その工学的な応用も完了したと云える.また,2次元ではあるが,MTDMのMany Integrated Coreへの実装を行い,ある程度の性能向上も実現している.
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今後の研究の推進方策 |
メッシュレス法の基本的な2次元問題に対する性能評価やその安定性に関しては,本年度までの結果より判明したと云える.これを踏まえ,今後の研究課題としては次の問題が挙げられる. 1)メッシュレス法の3次元問題への拡張 2)大規模問題解析の実現のための分散処理化 3)大規模連立一次方程式の安定的な求解とその高速化 また,これらの問題に付随し,複雑形状大規模導波路内の電磁界解析が必要となり,同問題に対しても今後の研究課題とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初出席を予定していた国際会議(CEFC2014)の採択通知とEarly Registration が科研費の採択通知以前に決定してしまったため,本件に関して次年度の繰越が発生した.また,年度の終盤に,研究の進捗状況が非常に進捗したこともあり,そのため次年度に海外出張を複数回入れる予定であることと,研究を評価するための実機の一部を新しくリプレイスすることを目的として,繰越を行った.
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に予定している国際会議は,COMPUMAG 2015(モントリオール,カナダ),ICCES 2015(リノ,アメリカ),NOLTA 2015(香港)である. また,新しいMany Integrated Core(20万円前後)を複数台,GPU(17万円前後)を複数台の購入を予定している.
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