次元の一致の非可換化を企図し、非可換対称関数との関連を考察している途上で、組合せ論的ゼータとの密接な関連が浮上した。非可換対称関数を記述する上で重要なのは、非可換完全対称関数であるが、可換な完全対称関数の生成関数が、これら組合せ論的ゼータの多くがもつ行列式表示と同じ形をしていることが観察される。 そこで組合せ論的ゼータの「非可換化」を考察する意義が発生する。その過程で、伊原ゼータに始まるグラフゼータ、そしてアルチン=メイザー・ゼータやルエル・ゼータなどの有限力学的ゼータを含む組合せ論的ゼータが、おおうにしてもつ母関数表示、オイラー積表示、そして行列式表示の三者鼎立の相が「偶然」なのか、「必然」なのか、その点を問うべき状況に直面する。現在、この点の考察をおこない、この問いに対して回答を与えうる議論に向けた一般的枠組みの設定を行っている。 現在、これら三種の表示の相違を扱うための枠組みの設定を完了し、その差異を明確に把握することを完了した。そこでは、母関数表示からオイラー席表示、そしてオイラー席表示から橋本型行列式表示へと書き換えることができるための各条件を明確に把握することができており、これまで知られている組合せ論的ゼータ~伊原ゼータ、第一種荷重ゼータ、第二種荷重ゼータ、アルチン=メイザー・ゼータ、ルエル・ゼータ、小山-中島 L-関数など~において、母関数表示、オイラー積表示、橋本型行列式表示が鼎立する機制を理解することができた。
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