今後の研究の推進方策 |
スカラー型一般化バルマ加群の準同型の存在問題についてはとりあえず今までのアイデアで行けるところまでやった後は、やはりアイデアが他にでない限りは、研究の方向性を考える必要があると感じている。具体的には準同型の応用である次のようなものである。スカラー型一般化バルマ加群の間の準同型は退化系列表現(一般化旗多様体の上の同変直線束の切断の空間に実現される対応する群の表現)の間の微分作用素で表される準同型を引き起こす。いくつかの系列の古典群についてはこの微分作用素のカーネルは退化したパラメーターに対して(ゼロ表現でないなら)弱冪単ユニタリ表現になるになることが知られている([1]). こういった問題は放物型部分代数の冪ゼロ根基が可換な場合は多くの研究があるが、より複雑な場合はほとんど何も知られていない。 この場合ゼロになるかどうかが大問題であり、存在が言えるだけの具体的に書けない微分方程式の大域解の存在という普通は手が出ないものではある。ただやはり[1]において準同型の像は調べられておりそれが全体に一致しなければカーネルはゼロでない。というわけでこの問題には表現論的なアプローチが考えられる。一番簡単で非自明な場合は実はゼロになってしまうことがわかった。ただより複雑な準同型の像が完全可約な場合はカーネルがゼロだと退化系列表現が非ユニタリパラメータで完全可約になることに違和感がかなりある。このことについてちゃんと調べてみたい。 [1] H.Matumoto and P.E. Trapa, Derived functor modules arising as large irreducible constituents of degenerate principal series,Compos. Math. 143 (2007), no. 1, 222-256.
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