研究実績の概要 |
平成26年度は,主に重さ1のモジュラ形式(レベルNの主合同部分群に関する重さ1のモジュラ形式で,Hecke固有形式になっているもの)に付随する,2次元複素奇Artin表現を具体的に計算する,というテーマに取り組んだ.また,このテーマの研究上密接に関連する問題として,レベルNの主合同部分群についての重さ1のモジュラ形式を出来るだけ具体的に構成する(q展開として)という問題にも取り組んだ. 重さ1のHecke固有形式に,上記のArtin表現を対応させることは,Deligne-Serreにより1970年代になされた.この構成を再検討し,また,ここ10年ほどの,Edixhoven, Couveigneらによるモジュラ形式に伴う法l Galois表現の具体的な計算アルゴリズムの構成と組み合わせて,標記のArtin表現を計算するアルゴリズムが存在することを示した. 一方,このアルゴリズムを具体的に実装することにはまだ多くの困難があり,達成されていない. 関連する問題として挙げた,重さ1のモジュラ形式の具体的な(q展開としての)構成については,I. Kimingらの先行研究などを参考に,試行的な実装をした. 以上の研究内容について,国内外のセミナ・研究集会で報告した(ポスター発表含む).論文は現在作成中である. さらに,レベルNを無限大に飛ばした際に,"exoticな"(すなわち,射影像が二面体群ではないような)複素2次元Artin表現を持つ重さ1のモジュラ形式がどの個数についての漸近公式などについても,J. Ellenberg, W. Duke, P. Michael, A. Venkateshらの先行研究を参考にしながら考察した.
|