研究課題/領域番号 |
26400010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平賀 郁 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (10260605)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 簡約代数群の被覆群の表現 |
研究実績の概要 |
本研究の目的のひとつは被覆群のエンドスコピーについての研究である。分裂していない簡約代数群の被覆群に対するエンドスコピーについてはこれまでの研究が少なく、ほとんど分かっていなかった為、本年度においては、GL(2) の内部形式という分裂していない簡約代数群の中でも単純と思われるものの被覆群について主に研究を行った。研究代表者のこれまでの研究により、GL(2) の内部形式の奇数次の被覆群のエンドスコピーについては存在が分かっているので、本年度は GL(2) の内部形式の2次の被覆群について研究を行った。 GL(2) の内部形式の2次の被覆群のエンドスコピー群の候補としては PGL(2) があり、GL(2) の内部形式の2次の被覆群の軌道積分・許容表現と PGL(2) の軌道積分・許容表現との関係について調べた。これまで知られている GL(2) の被覆群のエンドスコピーや GL(2) の内部形式の奇数次の被覆群のエンドスコピーにおいては、被覆群とそのエンドスコピー群の軌道積分の間にきれいな対応関係が存在し、それによりこれらの群の既約許容表現が対応していたのであるが、本年度の研究により GL(2) の内部形式の2次の被覆群とそのエンドスコピーの候補である PGL(2) の内部形式との間の関係はこれまで知られている GL(2) の2次の被覆群と PGL(2) のものとは異なっていることが分かった。 簡約代数群のエンドスコピーを考察するときにはその内部形式も同時に考察することが自然であったが、本年度の研究は被覆群のエンドスコピーの場合には内部形式により状況が異なり得ることを示唆していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は分裂しない簡約代数群として主に GL(2) の内部形式の2次の被覆群について研究を行った。 これまでに研究が行われた GL(N) の内部形式や GL(2) の2次の被覆群や GL(2) の内部形式の奇数次の被覆群のエンドスコピーの場合には、それを研究することにより、対応する SL(N) の内部形式やその被覆群のエンドスコピーの研究を進めることができたため、本研究においても当初は GL(2) の内部形式の2次の被覆群について研究を行い、それを元に SL(2) の内部形式の2次の被覆群の研究を進めていく予定であった。 しかし、GL(2) の内部形式の2次の被覆群についてはこれまで研究されたものとは状況が異なることが分かったため、GL(2) の内部形式の被覆群のエンドスコピーから SL(2) の内部形式の被覆群のエンドスコピーを理解するという当初の予定とは異なり、SL(2) の内部形式の被覆群については GL(2) のものとは当面は分けて考察することが必要になった。 これにより当初の予定よりも研究はやや遅れている状況であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究を踏まえて、GL(2) の内部形式の2次の被覆群のエンドスコピーを考察することにより SL(2) の内部形式の2次の被覆群のエンドスコピーを研究するという方針を改め、当面は GL(2) の内部形式の2次の被覆群のエンドスコピーと SL(2) の内部形式の2次の被覆群のエンドスコピーとを分けて研究することにする。 GL(2) の内部形式の2次の被覆群と SL(2) の内部形式の2次の被覆群では、被覆群の分類や関手性からみて SL(2) の内部形式の2次の被覆群の方が基本的であると現段階では考えられるので、まず SL(2) の内部形式の2次の被覆群のエンドスコピーを直接考察することにする。 次年度以降は、この SL(2) の内部形式の2次の被覆群の研究結果を踏まえて、他の簡約代数群の被覆群について研究を行っていく計画である。
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