研究課題/領域番号 |
26400011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 信一 京都大学, 理学研究科, 教授 (90114438)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 簡約群 / 対称空間 / 表現論 / 局所体 / 有限体 / 球等質空間 |
研究実績の概要 |
連携研究者の高野啓児(香川大教育学部)と共同で,p進体上の対称空間の表現論,つまり p進簡約群の対称部分群に関するdistinguished表現の研究,とりわけ相対尖点表現の構成についての研究を行った. 昨年度までに,p進体Fの2次拡大E上の一般線型群に付随した対称空間 GL_n(E)/GL_n(F),もしくは GL_2n(F)/GL_n(E) の相対尖点表現を,安定放物型部分群 のLevi部分群のdistinguishedな既約尖点表現からの放物誘導で構成する方法を確立していた.今年度は主として,内部自己同型から得られる対称空間 GL_{p+q}(F)/GL_p(F) x GL_q(F) について上記の構成法に並行したやり方での考察を行い,この場合にも予想されるような形で相対尖点表現が得られることを示すことが出来た.この結果はわれわれが持っている相対尖点表現の記述に関する予想を裏付けるものであり,一般線型群に関わる対称空間ではわれわれが予想する構成法が有効であることを示すものである. より一般の場合を考察するに当たっては,Murnaghan, Smith らが提唱する,楕円的Levi部分群を用いた対称空間の相対尖点表現の構成法との比較研究も続行した.また前年度に続いて相対尖点表現の存在問題を,Beuzart-Plessisの証明法を応用して,楕円的トーラスの存在と結びつけようと試みた. なお,上記とは異なる方向からの研究として,分裂放物型部分群のLevi部分群のdistinguishedな表現を放物誘導すると,相対尖点的には(少なくとも標準的な不変形式については)なれないという結果も得ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p進対称空間の相対尖点表現の構成に関して既に得られている予想形に対して,今回もまたエビデンスを重ねることができた.ただし一般論を構築して予想それ自体を証明するにはまだ至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
今までに得られたp進対称空間の相対尖点表現の構成法を,具体例を通してさらに精密化して,できるだけ一般の形で証明することが 今後の研究の推進方策である.これに加えてMurnaghanらの研究の観点の導入や,相対尖点表現の存在問題と楕円的トーラスとの関連の考察も行いたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も多忙のため,国内出張件数を押さえざるを得なかった. 次年度使用額は,次年度分の直接経費と合わせて,国内出張旅費ならびに図書購入,PCの更新費用に充てる予定である.
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