研究課題/領域番号 |
26400014
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
橋本 隆司 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 教授 (90263491)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 不定値直交群 / Howe双対性 / sl(2)の既約有限次元表現 / Gelfand-Kirillov次元 / Bernstein次数 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,リー群およびリー代数の表現論的枠組みの中で運動量写像と非可換代数とを有機的に相互作用させることにより,不変式論で際立った役割を果たすカペリ型恒等式に光を当て,運動量写像が表現論で果たす役割を明らかにすることである.そこで平成29年度における本研究では,前年度の研究に引き続き,研究計画書に掲げた以下の点に目標を絞り研究を遂行した. ・随伴多様体,随伴サイクル,Gelfand-Kirillov次元,Bernstein次数等の不変量を運動量写像を用いて記述する. 前年度の研究により,シンプレクティック・ベクトル空間上に働く不定値直交群O(p,q)のハミルトニアン作用を量子化することにより,O(p,q)の(g,K)-加群を構成し,そのK-type公式,Gelfand-Kirillov次元,およびBernstein次数を求めることに成功したが,その証明には一部不備のあることがその後判明した.そこで,まず,平成29年度の本研究においてはその不備を改めたのち,残っていたその加群の既約性の証明を行った.また,ここで構成した加群はsl(2)の作用に関する最高ウェイト元からなるものと最低ウェイト元からなるものとの2つのタイプあるが,どちらもsl(2)の既約有限次元表現に付随するものである.既約な有限次元表現は最高ウェイト表現でも最低ウェイト表現でもあるので,ここで構成した2つのタイプの加群は同型であることが予想されるが,その予想が正しいことも証明できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度に求めたGelfand-Kirillov次元,およびBernstein次数の計算において,一部不備な箇所が見つかり,それを改めるのに結構時間がかかってしまったことに加え,所属機関の職務上,本研究に対するエフォートが大幅に減少してしまったことによる.
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今後の研究の推進方策 |
上で述べた研究実績の概要の研究調書に掲げた目標を達成するべく,今後は本研究で構成できた不定値直交群の(g,K)-加群のユニタリ性,および,そのannihilatorを求めることを目標に研究を推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関での職務に当てるエフォートが格段に増加し,計画していたように旅費を使えなくなったため.
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