研究実績の概要 |
代数体の整数環のK群に関するCoates-Sinnott予想は, 岩澤μ不変量に関する仮定のもと,アーベル拡大F/kで, F,kがともに総実代数体の場合はp=2の場合を除き,Nguyen Quang Do, Greither-Popescu らによって証明されている. p=2の場合においては最近, R. Taleb がホモロジー代数を用いた証明を与えているが,この証明の中で用いられている手法を用い, 以前FがCM体の場合に得られていた結果を条件つきで精密化することができた. また, 高次K群の具体例を作るために, 愛知教育大学の岸康弘氏との共同研究において, 4次体のファミリーの基本単数について考察し, その結果を論文にまとめて投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この年度は, 代数体のK群の計算例を構成することであった. アーベル数体の場合は, 円単数やガウス和などを用いて計算できることが知られているが, この場合でも組織的な例を作ることは出来ていない. しかし, アーベル数体でない場合, とくに有理数体上ある4次拡大体のファミリーの場合に, 基本単数を計算することにより, 構造を計算するための土台を作ることができた. また, 従来得られていたCM体におけるCoates-Sinnott予想の精密化に関しても, 発展させることができた.
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今後の研究の推進方策 |
まず,代数体のK群の計算例があまり得られていないので, 計算数学の専門家の協力を得, 組織的に計算したいと考えている. 構造を調べる際に, アーベル数体でない場合は, 良い単数を探す必要があるが,具体的な代数体で基本単数が得られている場合などを考察したいと考えている. また, Coates-Sinnott予想のFがCM体でp=2の場合についても研究を進める予定である.
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