研究課題/領域番号 |
26400021
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
桂田 昌紀 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90224485)
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研究分担者 |
野田 工 日本大学, 工学部, 准教授 (10350034)
天羽 雅昭 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (60201901)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多重母関数 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,本研究課題と密接に関連する以下の研究テーマにおいては,一定の進展をみることができた.以下それらを箇条書き的に列挙する. 1) ゼータ関数の超幾何型母関数: Gau{\ss}・Kummer 型の超幾何関数を各項に含む Dirichlet 型級数により定義される一般化されたゼータ関数を導入し,それらの,解析接続可能性・整数点等における特殊値の閉じた形の明示公式・pivotal parameter $z$ を,例えば,扇状領域 $|\arg z|<\pi$ 内を $z\to0$ や $z\to\infty$ としたときの漸近展開を導くことに成功した.今後は此処での成果の多変数化・多重級数化が,本研究課題とも密接に関連し,有望かつ重要な研究の方向性と考えられる; 2) 一般化された複素1変数 Eisenstein 級数: 複素1変数と,上半平面のパラメタ $z$ を持つ,一般化された Eisensteinn級数に関して,$z$ が,扇状領域 $0<\arg z<\pi$ 内を $z\to0$ となるときの完全漸近展開を導出し,さらに漸近展開の剰余項の第2種合流型超幾何関数を含んだ明示公式を見出した.この成果からは,Weierstra{\ss} の楕円関数の展開式や,Ramanujan の発見した Riemann ゼータ関数の奇数点における特殊値と Lambert 級数とを結びつける,著名な公式を拡張した形の等式が導かれる.今後はこの種の一般化 Eisenstein 級数について,此処で得られた成果を基にして,何らかの形の多重母関数を導入し,それらの解析的な性質を解明することは意義のある研究の方向性と考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,多重母関数というテーマそのものというより,寧ろ研究課題の周辺部に位置し密接に関連している問題の解明に関しての進捗の方が著しかったため,本研究課題自体の解明に限定して云うならその進捗はあまり芳しいものではなかったものの,今後の本研究課題の深化・発展に向けての前駆的・潜在的な発展はあったと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題自体の進捗を目指すことは勿論であるが,昨年度の研究で得られた成果を,多重母関数の定式化とその挙動解明という観点から再考してみることで,新たな問題群の創出も期待される.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に(一身上の都合により)出張旅程に変更が発生する等などの事由により支出計画の完全な遂行が不可能となったため.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度未使用額は概ね(国外・国内)旅費の経費枠に組み入れて予算を執行する.
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