研究実績の概要 |
本研究の最終年度(平成30年度)には, 一般の偶標数高次元双対超卵型に対して, その生成空間の次元の上限を示すことおよび分裂性の証明に関する検討を行った.次元に関しては, 部分的成果が得られたものの, 双線形高次元双対超卵型に対する研究代表者の平成29年度の成果を超える結果は得られなかった.双線形の場合の議論が拡張できるための技術的な仮定を外すことが出来なかったことが原因である. 一方, 双線形とは限らない双対超卵型に関して, その具体的なモデルが与えられているとき, そのモデルから計算できるある写像を分析することにより分裂性を示す方法を開発し, それを適用することにより, 谷口双対超卵型の分裂性という新知見を含む結果が得られた. その一部は論文として発表された.
従って, 本研究が本来目指していた「一般の偶標数高次元双対超卵型に対して, その生成空間の次元の最も完全な上限を得る, そして, その分裂性を示す」という目的に対して, 平成30年度までに得られた成果は次のように要約できる. (1) 双線形双対超卵型に対しては, これらの問いを完全に肯定的に解決した. (2)(1) に付随して, 双線形双対超卵型に関してはその生成次元が最大であるものを完全に分類した.(3)一般の偶標数高次元双対超卵型の具体的モデルが与えられているとき, ある写像を分析することにより分裂性を示す方法を開発した. (4) (3) の応用として, これまで分裂性が示されていなかった唯一の既知の双対超卵型である谷口双対超卵型の分裂性が得られた.
総括すると, 双線形双対超卵型という双対超卵型の重要なクラスに関しては本研究により決定的かつ最終的な成果を得た. 特に(2)の分類は,研究開始当初には予想もしていなかった成果であり, その証明の初等性も含めて, 自負できるものとなっている.
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