研究課題/領域番号 |
26400026
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
功刀 直子 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50362306)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 有限群 / モジュラー表現 / 導来同値 / 森田同値 |
研究実績の概要 |
有限群のモジュラー表現において,有限群のブロックの導来同値や森田同値での分類が重要な問題としてある。とくに可換不足群をもつブロックとその局所部分群のブロック(ブラウアー対応子)の導来同値を述べたブルエ予想や,指定した不足群をブロックの森田同値類の有限性をのべたドノバン予想が重要である。これらに関連して,異なる有限体上で定義された次数が等しく同じ局所構造をもつ一般線形群やそれに関連して現れる無限系列の有限群の中での主ブロック間の森田同値や,主ブロックとブラウアー対応子との間の導来同値の構成を目指すことが研究の目的で,とくに関連して以下の研究を行った。 1.研究協力者とともに,任意に与えられたブラウアー樹木多元環に対し,それと同じ辺の本数と例外重複度をもつ星形ブラウアー樹木多元間との間の導来同値を誘導するRickardによる片側傾斜複体を両側化することに成功した。すなわち,両側傾斜複体で片側加群の複体とみなしたときにRickardにより与えられた片側複体と同型になるものを構成できた。 2.有限群のブロックがブラウアー樹木多元環となるのは,巡回不足群をもつ場合である。巡回シロー部分群をもつ有限群の自己同型による拡大が非可換メタ巡回シロー部分群をもつ場合に,その主ブロックとブラウアー対応子との間の導来同値の構成に上記1の研究を役立たせることができるのではないかと期待し,とくにこの設定となる一般線形群の自己同型による拡大の群の主ブロックについて考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
無限系列の群に対する一つの問題をいくつかのステップに分け,派生・発展した問題に取り組み,そのうちの一つであるブラウアー樹木多元環における両側複体の構成について最終結論を得ることができた。他の問題に関しては最終結論には至っていないが,今後の研究につながるよい考察ができているため,やや遅れているものの順調に進んでいる状況に限りなく近いと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
非可換メタ巡回群をシロー部分群にもつ無限系列の群の考察から派生,発展した問題のうち,一つは最終結論に至ったため,それを利用して非可換メタ巡回群をシロー部分群にも主ブロックの考察を進める。研究協力者とも十分に打ち合わせをし,さらに国内外の専門家を招いて関連する研究の進捗状況を把握するなど,研究交流の機会を多くもつ。
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次年度使用額が生じた理由 |
一つの大きな問題設定をいくつかのステップに分けているが,それぞれ発展させた問題となったため,最終結論に至らないものについて成果発表の一部を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表や研究打ち合わせの機会を多くもつ予定であり,そのための旅費に使用する計画である。
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