研究実績の概要 |
今年度の主な研究実績は以下の通りである。 私が見いだした高次元超卵形(dimensional dual hyperoval)であるS_c(GF(2 r),l)達(Discrete Mathematics 337(2014)65-75参照), ここにcは有限体GF(2 r)のある性質をみたす元でl,rは自然数, の自己同型群をすべて決定した。さらにそれらの間に被覆する(被覆される)関係がある場合にl,r,cの関係を(cが1でない場合には完全に)決定し, それらの自己同型群の間の関係も決定した。次に、標数2の可換な半体(SemiField)から, S_c(GF(2 r),l)の構成と同様な方法で新しい高次元双対超卵形が構成できることを見いだし, それらの性質を調べた。特に上記の半体達がKantorの構成した半体達である場合には, それから高次元双対超卵形が構成される条件, およびそれら高次元双対超卵形達が同型であるための簡明な必要十分条件を見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元双対超卵形については、上記研究実績にもあるようにS_c(GF(2 r),l)達の自己同型群や被覆する(される)条件にあるためのc,r,l達の条件などを決定した。このようにS_c(GF(2 r),l)達は(高次元双対超卵形の研究の上で)非常に扱いやすい例を提供していることがわかった。また標数2の可換な半体から高次元双対超卵形が構成できることも見出し, 半体の研究と高次元双対超卵形の研究の間には密接な関係があることがわかってきた。このように現在活発に研究されている他の分野との関係もどんどんわかってきているので, おおむね順調に進展していると言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究で関係があることがわかってきた半体(SemiField)と高次元双対超卵形の間の関係をさらに追求する。半体の研究は(海外を中心に)現在非常に活発に行われているので, それらの結果を高次元双対超卵形の研究に活用していく。また逆に今までの高次元双対超卵形の成果を半体の研究に活用していく。 さらにBierbrauerによる半体を構成を参考にして, 新しい高次元双対超卵形の構成方法を探る。現在奇標数の可換な半体は平面関数と呼ばれる有限体上の関数と密接に関係していることが知られている。標数2の場合も同様な関係を高次元双対超卵形を通じて探り有用な有限体上の関数の発見につなげていきたい。
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