研究課題/領域番号 |
26400031
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澁川 陽一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90241299)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ダイナミカル・ヤン・バクスター写像 / 反射方程式 |
研究実績の概要 |
本研究では,可積分系に現れる代数的構造の解明およびその代数学・可積分系への応用を目指し,量子ダイナミカル・ヤン・バクスター方程式の解であるダイナミカル・ヤン・バクスター写像に関する反射方程式を定式化した上で,その解を構成することを目的としている.当該年度においては,ダイナミカル・ヤン・バクスター写像の定義されているテンソル圏での反射方程式の定式化,および,先行研究で扱われたヤン・バクスター写像の一般化となるダイナミカル・ヤン・バクスター写像の構成を目指す計画であった. これをふまえて,当該年度には,まず,一般のテンソル圏における反射方程式の定式化を試み成功した.これは,どのようなテンソル圏上での量子ヤン・バクスター方程式(これは,本研究で扱う量子ダイナミカル・ヤン・バクスター方程式を含んでいる)の解に対しても反射方程式が定義可能であることを明らかにした点で,基本的な結果である.本研究では,最終年度に,反射方程式の解を利用した可換な写像族の構成(Caudrelierらによる結果[J. Phys. A 46(2013), No.9]の一般化)を計画している.本定式化は,これの達成につながる重要な第一歩であると考えている. さらに,ホップ亜代数を生み出すようなダイナミカル・ヤン・バクスター写像に関する反射方程式の解の構成にも成功した.これは,本研究目的の最も単純な場合が概ね達成されたことを意味する.今後,本研究計画を進めていく上での雛形を提供してくれるのではないかと期待している. これらに関連して,ダイナミカル・ヤン・バクスター写像に付随して現れる代数的構造について学会発表等を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載した平成26年度の研究実施計画のうち,「ダイナミカル・ヤン・バクスター写像の定義されているテンソル圏での反射方程式の定式化」は達成した.さらに,平成27年度の研究実施計画に記載の「ダイナミカル・ヤン・バクスター写像に関する反射方程式の解の構成」についても,簡単な場合ではあるが成功している.一方で,平成26年度の研究実施計画に記載の「先行研究で扱われたヤン・バクスター写像の一般化となるダイナミカル・ヤン・バクスター写像の構成」については,達成できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
概ね,交付申請書に記載の研究実施計画に従って今後の研究を推進する.ただし,平成26年度の研究実施計画に記載した「先行研究で扱われたヤン・バクスター写像の一般化となるダイナミカル・ヤン・バクスター写像の構成」については,まだ達成できていない.この研究計画は,平成27年度以降に改めて実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度研究実施計画に記載の計画のうち,1つが未達であるため.
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次年度使用額の使用計画 |
主として,旅費に使用する計画である.
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