研究課題/領域番号 |
26400033
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩司 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30208483)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 量子群 / 可積分系 / パンルヴェ方程式 |
研究実績の概要 |
モノドロミー保存変形の量子差分化という問題について、可解格子模型との類似から考察を行うのが本研究課題である。1次元あるいは2次元可解格子模型における各サイトおよびそこに置く自由度を、リーマン球面上の接続の極及び留数の類似と考える。この視点から、主としてパンルヴェVI型方程式のq差分化を量子化(非可換化)する量子q差分パンルヴェVI型方程式について、その表現論的考察を行いつつ、格子模型における対称性を逆に考察したい。一般化の方向としては、サイトあるいは特異点の数を増やす多点化、1サイトの自由度を増す高階化、パラメータq依存性に関する楕円化などが主な課題である。
今年度はとくに、従来の量子群で把握できる三角関数的な場合について、高階化に必要な構造を(改めて)考察した。この場合は対応するアフィン量子群の普遍R行列について積公式が知られている。これは唯一でないがその由来について理解を深めることができた。積公式の構造とベックルンド変換には密接な関係が期待される。
また楕円化について予備的考察を行った。G.Ip氏の楕円的ダブル代数(量子群)の表現の構成に準拠するような、楕円的な量子q差分パンルヴェVI型方程式の拡張の可能性について考察したが、楕円版の代数についてはとくにその普遍R行列にまだ十分な理解がなく、時間をかけて考えてゆくべき段階であると考えられた。これに関しては、Kuznetsov-Sklyanin により知られている楕円的量子Ruijsenaars作用素におけるベックルント変換(離散時間発展)の構成が参考になるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ip氏の楕円的ダブルの表現の構成に準拠した量子qP6の拡張について考察したが、楕円版の代数について、とくにその普遍R行列にまだ十分な理解がなく、時間をかけて考えてゆくべき段階であると考えられた。 これに対し、従来の量子群で把握できる三角関数的な場合については、普遍R行列の積公式が知られている。これは唯一でないがその由来について理解を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
楕円版はやや困難もあるため、量子qP6 を含む三角関数版について、そのベックルンド変換とR行列の積公式の関連をさらに考察したい。
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