研究課題/領域番号 |
26400034
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾形 庄悦 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90177113)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トーリック多様体 / ファノ多様体 / カラビ・ヤウ多様体 |
研究実績の概要 |
一般のn次元射影的トーリック多様体が、指数nまたはn-1のゴレンスタイン・ファノ多様体となるための条件を条件を見いだした。それは、あるアンプル直線束で自身のnまたはn-1回のテンソル積と双対層とのテンソル積が1次元分の大域切断を持つようなものが存在することである。我々は、アンプル直線束に対応する整凸多面体に対して、n倍またはn-1倍した多面体が内部にただ一つの格子点を含むという仮定を各頂点の周りの状況の分析に生かして証明を得た。これは、指導している大学院生の趙懐亮君との共同研究であり、KAIST(韓国科学技術院)においてセミナーでの講演の中で紹介し、共著の論文を学術雑誌に発表した。 KAISTにおける代数幾何セミナーでは、トーリック多様体上のアンプル直線束の単生成性やこれで定義される関数環のイデアルにつて、また高次のシジジーについての結果なども報告した。セミナー後の参加者たちとの議論により、トーリック多様体と他の一般の多様体での証明方針の違いが明確になった。 また、前年度に得られた、4次元トーリック・ファノ多様体のカラビ・ヤウ超曲面のどのアンプル直線束も単生成であるという結果を応用するために、組み合わせ論的可換環論や代数幾何の研究集会に参加して、研究方針を決めるための情報収集をした。さらに、MEGA2015(代数幾何における実効的手法)に参加して、特に整凸多面体の定める可換環のいくつかの性質を確かめる例を生成するソフトウエアのデモンストレーションから、公開されているソフトウエアを使って実験することの重要性を感じた。今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トーリック多様体の中でゴレンスタイン・ファノとなるための条件を推測してから証明するまでに予想以上の時間がかかったので、カラビ・ヤウ超曲面の研究への着手が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず4次元非特異トーリック多様体のどのアンプル直線束が単生成であるかの条件を見つけることを目標に、具体例を考察する。 3次元の非特異トーリック多様体の定義イデアルの生成元の次数を正しく評価し、スツルムフェルスの予想「イデアルは2次生成である」の3次元の場合の解決を目指す。そのために、組み合わせ論的可換環の研究集会に参加して情報収集をする。 トーリック・ファノ多様体に含まれるカラビ・ヤウ超曲面の研究のために、3次元トーリック・ファノ多様体のK3超曲面の性質が研究進んでいるミラー対称性の研究集会に参加し、参加者と意見を交換して、研究方針を決める。
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