研究実績の概要 |
研究の目的は、トーリック(弱)ファノ多様体上のアンプル直線束の正規生成性と埋め込みでの定義イデアルの研究とカラビ・ヤウ超曲面の幾何的性質の研究であった。 我々は、3次元のトーリック弱ファノ多様体上のどのベリーアンプル直線束が正規生成であることを示した。この研究成果をベルリン自由大学での研究集会において、津田塾大学でのミニワークショップ及び琉球大学での研究集会で発表した。この研究結果の応用として、4次元の場合には、トーリック・ファノ多様体上のアンプル直線束の正規生成は示せなかったが、3次元カラビ・ヤウ超曲面上のすべてのアンプル直線束が正規生成であることを示すことができた。これらの結果は、学術論文「Nef and Big Divisors on Toric Weak Fano 3-folds」として出版された。 また、3次元非特異トーリック多様体Xでその上のアンプル直線束 Aであって、随伴束A+Kが巨大でないものをもつ組(X,A)に対して、X上のどのアンプル直線束も単生成であることという研究成果を学術論文「Projective normality of toric 3-folds with non-big adjoint hyperplane sections II」として出版した。 更に、大学院生趙懐亮君との共同研究として、n次元ゴレンスタイン・トーリック・ファノ多様体について、ファノ指数がn以下のものをn次元トーリック多様体の中で特徴づけることができた。これも学術論文として出版し、エジンバラ大学での研究集会において、参加者と研究の進行状況の確認を行い、その後、韓国のKAISTでの代数幾何セミナーで発表した。また、これまでの研究成果と今後の研究課題のついて、ルーマニアでの研究集会で講演した。 定義イデアルの2次生成問題に関する今後の研究につながる計算例を東京農工大での研究集会で報告した。
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