研究実績の概要 |
研究代表者の星野は研究協力者の古賀(東京電機大)との共同研究によって以下の結果を得た: (1)Aを十分多くの射影対象を持つアーベル圏とし、PをAの射影対象全体からなるAの充満部分圏とする。また、Aのゴレンシュタイン射影対象全体からなるAの充満部分圏をGとする。この設定のもとで、先ず、①上下に有界なA上の鎖複体Xが有限のゴレンシュタイン次元を持つためには、上下に有界なA上の導来圏において、ある上下に有界なG上の鎖複体と同型になることが必用十分であることを示した。次に、②上下に有界なA上の導来圏において、有限のゴレンシュタイン次元を持つ鎖複体全体からなる充満部分圏が実際に部分三角圏であることを示した。さらに、③GのPによる剰余圏と、有限のゴレンシュタイン次元を持つ鎖複体全体からなる三角圏の有限の射影次元を持つ鎖複体全体からなる三角圏による商圏とは圏同値であることを示した。 (2)A, Bをともに十分多くの射影対象を持つアーベル圏とする。先ず、①上下に有界なA上の導来圏と上下に有界なB上の導来圏との間にある条件をみたす三角圏としての圏同値が与えられているとき、その圏同値は有限のゴレンシュタイン次元を持つ鎖複体全体からなる部分三角圏同士の間の圏同値を誘導することを示した。次に、②有限のゴレンシュタイン次元を持つ鎖複体全体からなる三角圏同士の間に三角圏としての圏同値が与えられているとき、AおよびBがグロタンディックの公理Ab4をみたせば、その圏同値は有限の射影次元を持つ鎖複体全体からなる部分三角圏同士の間の圏同値を誘導することを示した。
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