F特異点とは,フロベニウス写像を用いて定義される正標数の特異点の総称であり,現在までにF正則,F 有理,F 純, F 単射特異点などの特異点が知られている.F 特異点と標数0の双有理幾何学に現れる特異点の対応は,多くの研究者によって研究されてきた.本研究課題では,この対応に関して,次の2つの成果を得た.(1) 数値的Q-Gorensteinの場合に,判定イデアルとde Fernex・Haconの意味の乗数イデアルの対応を証明した.(2) F冪零特異点という新しいF特異点のクラスを導入し,正規F冪零孤立特異点のホッジ理論的な意味を明らかにした.
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