研究課題/領域番号 |
26400040
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
山田 裕理 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50134888)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頂点作用素代数 / パラフェルミオン代数 / アフィンリー代数 / 国際研究者交流 / 中国:台湾 |
研究実績の概要 |
階数1のA型アフィンリー代数のレベルkの可積分表現のなす頂点作用素代数において、そのハイゼンベルグ部分代数によるコミュタントとして定義されるパラフェルミオン頂点作用素代数K(sl_2,k)に関する研究成果、すなわち特異ベクトルを用いたC_2代数の決定、Zhu代数の決定、および既約加群の分類が、荒川知幸、Ching Hung Lamとの共著論文としてAdvances in Mathematics、Vol.264に掲載された。 また、ある種の有理格子に付随する一般化された頂点代数の内部にパラフェルミオン頂点作用素代数K(sl_2,k)のk個のsimple currentを具体的に構成した。K(sl_2,k)のsimple currentの構成は、Haisheng Liによるデルタ作用素を用いたアフィンリー代数の可積分表現の既約加群の変形を経由しても実現できるが、本研究では有理格子に付随する一般化された頂点代数の内部に構成するという直接的な方法を採用した。これにより、コードを用いて有理格子のいくつかのテンソル積の和集合として得られる整格子を考えて、その整格子から定義される格子頂点作用素代数の内部にコードに付随する頂点作用素代数を構成することが可能になった。 これらの研究成果を、東京大学で開催された国際研究集会(2014年6月25日)、筑波大学で開催された国際研究集会(2014年10月20日)、中国のUniversity of Science and Technology of Chinaで開催された国際研究集会(2014年11月29日)、台湾のNational Taitung Universityで開催された国際研究集会(2015年3月10日)等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
パラフェルミオン頂点作用素代数K(sl_2,k)のk個のsimple currentをある種の有理格子に付随する一般化された頂点代数の内部に構成することに関して、研究計画策定当時より良い条件が成り立つことが明らかになった。それにより、議論を簡略化することが可能になった。 また、当初予想していたより多くのコードに付随する頂点作用素代数の例を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までの研究成果を踏まえて、コードに付随する頂点作用素代数に関する研究を一層進める。目標のひとつは、コードに付随する頂点作用素代数の既約加群の分類である。平成27年度には、この課題に集中的に取り組む。 コードに付随する頂点作用素代数は多数存在するが、コードの性質がどのように付随する頂点作用素代数の性質に反映するのかは、未解決な問題である。コードと頂点作用素代数との関係を念頭に置きつつ研究を遂行する。 平成26年度では、研究集会、セミナー等において研究成果を発表した際に出席者から様々なアドバイスをいただき、研究を進めるうえで有益であった。平成27年度においても、積極的に研究成果を発表して研究交流に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費としてパソコン購入の経費を計上していたが、平成26年度は既存のものを活用することとし、購入を控えた。また、書籍購入の経費も当初予定していたものより少なくなった。 研究成果発表および研究打合せのための出張が予定していたものより多くなったために、旅費は当初予算を超過した。その他の項目でも当初予算を超過した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度にはパソコンを購入することを計画している。研究成果発表および研究打合せのため、国内、国外の旅費を計上する。表現論および数理物理関係の書籍も購入する。
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