研究課題/領域番号 |
26400047
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
大城 紀代市 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (90034727)
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研究分担者 |
小池 寿俊 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (20225337)
菊政 勲 山口大学, 理工学研究科, 教授 (70234200)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環論 / 加群論 / QF-環 / Faith 予想 / Quaternion 環 / Octonion 環 |
研究実績の概要 |
Carl Faith は、彼の著書 Algebra II で片側入射的半準素環は quasi-Frobenius 環であるか?という問題を提起して、否定的に予想した。以来、この予想は、多くの環論学者により研究されてきたが、半世紀たった現在も未解決である。
最近研究代表者が、この Faith の問題を斜体 D と、その上のⅠ次元両側ベクトル空間 V = DxD でアレフゼロ 以上の右次元 A と A < B なる左次元 B をもち, V とその双対空間 が(D,D)同型となるような D,V があるかという問題に言い換え、この観点から Faith 予想を研究している。そして、多くの重要な D の場合、そのような V は存在しないことを示した。この結果は、Faith 予想についての著しい結果となるもので、Faith 予想が正しくないことを十分に裏付けるものである。更に最近、上述の "V とその双対空間が同型" という条件がなくても, そのような D,V は存在しないのではないかという感触を得ている。実際、このような D と DxD があれば、D は、アーベル群とみて、アメーバーのごとく無限に well ordered に自己増殖していく様相を呈する。連続体仮説を仮定すれば、このような状況にはならないと結論づけたい。しかし、このことを発表するには、分担者、連携研究者そして国内外の研究者と慎重に情報交換しながら、検証していく必要がある。 Faith 予想の周辺における Quaternion 環、Octonion 環についても、これらの環は、係数環が quasi-Frobenius 環ならば quasi-Frobenius になるという新しい結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Faith 予想を斜体上の両側ベクトル空間についての(学生でも理解できる)問題に言い換えて研究してきたが、その状況を更に単純で特別な形に帰着することができ、新たな視点で研究を行っている。これは、Faith 予想についての大きな進展になるものと自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今年の7月1日-7日の間、中国の杭州市で第7回中ー日ー韓 国際環論研究集会が行われる。この国際学会で、組織委員から特別寄稿と全体講演の2件依頼されている。特別寄稿では、Faith 予想の歴史と現状について分担者の小池氏との共同執筆により報告する。一方、全体講演では、Quaternion 環と Octonion 環についての講演を行う。それと並行して、次年度は、本研究の主目的であるFaith予想の完全解決に向けて全力を傾注していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額:研究代表者 54943 円、分担者小池 77800 円、分担者菊政 1640 円。研究打ち合わせや情報交換が予定より少なく行った為このような残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度7月1日ー7月7日 中国杭州市で第7回 China-Japan-Korea International Conference on Ring Theory が開催される。講演発表とは別に、特別企画として、分担者小池との共同執筆で Faith 予想についての歴史・現状について報告することになっている。原稿締切が9月30日。それまで、小池とは、綿密に頻繁に情報交換をしながら原稿を仕上げていく。未使用金額は、そのための旅費の一部に充てられる。
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