• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

群環の表現とAuslander-Reiten有向グラフ

研究課題

研究課題/領域番号 26400051
研究機関大阪市立大学

研究代表者

河田 成人  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50195103)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードAuslander-Reiten quiver / 有限群の表現
研究実績の概要

多元環の表現論において、直規約加群を点とし、既約写像を矢として得られる Aualander-Reiten quiver は基本的な研究対象である。有限群の正標数の体上の表現(モジュラー表現)の場合では Auslander-Reiten quiver の形状はよく知られていて、特に野生表現型のブロックでは、そのグラフとしての形状は半平面上に広がる格子型か、半無限に伸びる筒状の格子型である(このような格子型のグラフをA無限型と呼ぶ)ことが K. Erdmann によって示された。その一方で、有限群の完備離散付値環上の表現(整数表現)の場合には一般的な事実は知られておらず、少数の具体例が計算されているのが現状である。そのため一般論に迫るためには、整数表現においてできるだけ多くの実例を考察することが必要となる。平成26年度には、高さ0の整数表現加群とそのソースとなる表現加群を含むAuslander-Reiten quiverの連結成分との関連を研究して、連結成分の形状がA無限型になる条件を見つけることができた。高さ0の整数表現加群は、R. Knorr が提唱した virtually irreducible という重要な概念に該当し、そのソースはトレース分裂加群であるような興味深い表現加群である。特に、有限群のブロックには高さ0の既約な整数表現加群でモジュラー表現加群に簡約化しても直既約であるものが必ず含まれるが、そのような既約加群を含むAuslander-Reiten quiver の連結成分の形状は無限表現型のブロックにおいてはA無限型であることを証明することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高さ0の表現加群は、有限群の表現論において重要な役割を果たす表現加群であり、それらを含むAuslander-Reiten quiver の連結成分の形状について研究を進められたことは、有限群の整数表現において形状が判明したAuslander-Reiten qquiver の連結成分が多くない現状においては、意味があることと思われる。また、高さ0の表現加群を含むAuslander-Reiten quiver の連結成分の形状を決める問題が、素数冪位数の有限群においてトレース分裂表現加群を含む Auslander-Reiten 連結成分の形状の問題に帰着できたことは、これからの研究の進展に役立つであろうと期待できる。

今後の研究の推進方策

有限群の整数表現における Auslander-Reiten quiver の形状を求めるためには、さらに多くの例を検証することが重要となる。そのために、既約な表現加群や直既約な射影加群について研究が進んでいる具体的な有限群において、高さ0の表現加群とそれらを含む Auslander-Reiten quiver の連結成分の実例を計算する。並行して、高さ0の表現加群のソースとなるような素数冪位数の有限群のトレース分裂表現加群を含むAuslander-Reiten quiver の連結成分の解明を進める。なお現状では、群多元環の係数環として考えている完備離散付値環に多くのことを仮定しているので、この制約条件をできるだけ少なくすることも検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] On Auslander-Reiten components and height zero lattices for integral group rings2014

    • 著者名/発表者名
      Shigeto Kawata
    • 雑誌名

      Algebras and Representation Theory

      巻: 17 ページ: 1603--1613

    • DOI

      10.1007/s10468-013-9462-7

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi