研究課題/領域番号 |
26400053
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
渡辺 敬一 日本大学, 文理学部, 研究員 (10087083)
|
研究分担者 |
吉田 健一 日本大学, 文理学部, 教授 (80240802)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 特異点論 / 可換環論 / 有理特異点 / 整閉イデアル / 数値的半群 / イデアルの core / 特異点解消 |
研究実績の概要 |
昨年度は主として2次元正規特異点のイデアル論を研究した,特に曲線上の因子から決定される "cone singularity" の研究を,山形大学の奥間智弘教授,日本大学の吉田健一教授と行い,与えられた次数の cone singularity の幾何的種数の上限,下限を決定した. また,数値的半群環の研究をエッセン大学の J. Herzog 教授と行い,4元生成 almost symmetric 半群の特徴付けおよび,極小自由分解の特徴付けを得た.また、インド工科大学 Bombay 校の T. Puthenpurakal 教授、日本大学の吉田健一教授との共同研究で、整閉イデアルの生成元の個数に関する研究を行った。 研究発表としては,2016 年7月にミシガン大学の研究集会 "COMMUTATIVE ALGEBRA AND ITS INTERACTIONS WITH ALGEBRAIC GEOMETRY: TIGHT CLOSURE, LINKAGE, AND SYZGIES" に参加し,イデアルの core に関する成果発表を行った.また,2016 年 11月に,インドの IIT Bombay と TATA 基礎科学研究所に於て,イデアルの core と Hilbert-Kunz 重複度に関する成果を発表した.また,2016年11月の可換環論シンポジウムに於ては2次元の cone 特異点に関する研究発表を行った.数値的半群に関する成果発表は 2017 年2月の京都大学数理解析研究所における集会で行った. 新しい取り組みとしては,IIT Bombay の Puthenpurakal 教授,日本大学の吉田健一教授と 「生成元の個数に関して極大」なイデアルの研究を行っている. このように,可換環論,特異点論の様々な分野に亘って共同研究が進行中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きな目標として,2次元の正規特異点のイデアル論,正標数の手法を用いた,可換環論的手法により特異点論の研究,数値的半群環の理論を考えていた.2次元正規特異点に関しては研究は大変順調に進み,予想以上に興味深い結果が得られているし,既に2つの共著論文が出版され,3つめの論文が投稿中,4つ目が準備中で極めて順調である.数値的半群環に関しても大体成果がまとまり、近日中に投稿の予定である。 正標数の可換環論の手法の特異点論への応用に関しては、Kansas 大の H.Dao 教授との Hilbert-Kunz 重複度に関する共同研究が出版されたが、次の目標として、いくつかの問題を考えている。 以上のような進行状態なので、研究の進行は概ね順調と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は4年間の研究の総括なので、いろいろな研究課題に決着をつけたいと思う。 2次元正規特異点に関しては、特に cone 特異点の研究、数値的半群に関しては、4つの元で生成された almost symmetric 半群の特徴づけ、正標数の手法を用いた特異点論としては、Hilbert-Kunz 重複度、F-閾値などの研究にまとまりを付けたい。 今年度は Minnesota 大学で、局所コホモロジーに冠する研究集会があり、そこで多くの専門家たちと研究連絡、共同研究を行いたい。特に、Utah 大学の A.SIngh 教授とは F-正則特異点に関する共同研究が進行中であり、是非最後の結論を出したい。このための海外旅費を支出する。 また、山形大学の奥間智弘教授、日本大学の吉田健一教授との共同研究のため、山形大学を訪問するなどの国内旅費を支出する。 また、前に買ったコンピューターの形式が古くなったので、新しくする必要が出てきている。 4年間の研究のしめくくりをするべく、研究を進めて行きたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2016 年度に参加したいくつかの研究集会のうち、いくつかの集会に参加するための旅費、滞在費が主催者側から支出されたため、最初の計画で予定した旅費に残金が生じて次年度使用額になった。
|
次年度使用額の使用計画 |
昨年度から今年度に残された金額はほとんど旅費なので、今年度の国際及び国内研究集会における研究連絡及び成果発表のための旅費として使用する。
|