研究課題/領域番号 |
26400054
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
チャン ティフン 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (00649824)
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研究分担者 |
松岡 直之 明治大学, 理工学部, 専任講師 (80440155)
谷口 直樹 明治大学, 理工学部, 助教 (30782510)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 概ゴレンシュタイン環 / サリー加群 / 正準イデアル / 極小自由分解 / 数値半群環 / 行列式環 |
研究実績の概要 |
今年度は、以下の3課題を中心に研究を遂行した。 (1) 概ゴレンシュタイン環の一般化 (2) 概ゴレンシュタイン環の極小自由分解 (3) 行列式環の概ゴレンシュタイン性の解析 研究 (1)は、非ゴレンシュタイン環の展開、すなわち、非ゴレンシュタイン・コーエンマコーレイ環を階層化することを目指した研究である。研究分担者 松岡直之は研究連携者 後藤四郎らとの共同研究により、概ゴレンシュタイン性の次に良いと考えられる条件を定め、2-概ゴレンシュタイン性を1次元の局所環に対して定義し、数値半群環の2-概ゴレンシュタイン性に対して精密な解析を実行した。研究成果は論文にまとめ、現在国際専門誌へ投稿中である。次なる課題は、(a) 2-概ゴレンシュタイン性の高次元化、(b) 概ゴレンシュタイン性の一般化のより正しい定義の検討 が挙げられ、現在も活発な研究を実行中である。(b)に関しては、一般化ゴレンシュタイン性が提起されつつある状況である。 環の極小自由分解は、その環の構造を知る上で重要な情報を与える。逆に、ゴレンシュタイン環は特徴的な極小自由分解を持つことも知られている。概ゴレンシュタイン環の極小自由分解はいかなる構造を持つか、という問いは自然である。研究 (2) は、このような問いに対する答えを見出すことを目指したものであり、数値半群概ゴレンシュタイン環の中でも特にきれいな構造の極小自由分解を持つための数値的な条件を与えることに成功している。この結果は松岡直之と後藤四郎らによる共同研究であり、論文にまとめ国際専門誌へ投稿中である。 研究分担者 谷口直樹は、研究 (3) を中心に取り組んだ。(n, m)行列Mにより定まる行列式環S/I(M)のゴレンシュタイン性は、Mが正方行列であることと同値であることが知られている。本研究で、概ゴレンシュタイン性に対するMの条件も完全に与えることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、概ゴレンシュタイン環論の構築と展開および、それを発展・一般化させた非ゴレンシュタイン環論の開発・展開にある。本年度は、当初の計画通り、非ゴレンシュタイン環論の展開にまで着手し、一定の成果を挙げることに成功しており、順調な成果が挙がっているものと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
5月末から3週間、海外研究者2名を招聘する。この招聘は2016年12月に実施予定であったが、被招聘者の都合により実施が困難であったものである。この招聘期間に非ゴレンシュタイン環の階層化問題に関する共同研究を進める計画である。具体的に取り組む課題は以下の通りである。 (1) 2-概ゴレンシュタイン性の高次元化 (2) 一般化ゴレンシュタイン局所環論の展開 (3) 概ゴレンシュタイン次数環の正しい定義の考察 (4) 2-概ゴレンシュタイン性と一般化ゴレンシュタイン性の次数環に対する定義 (5) 加群のリース代数の概ゴレンシュタイン性解析
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次年度使用額が生じた理由 |
海外研究者の招聘を12月に計画していたが、被招聘者の都合がつかず、2017年5月まで延期することになったことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はすべて、海外から2名の研究者を招聘する費用に充てる計画である。
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