研究課題/領域番号 |
26400057
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三浦 敬 宇部工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (50353321)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ガロワ点 / 準ガロワ点 / ガロワ群 / 自己同型群 / 平面代数曲線 / リース積 |
研究実績の概要 |
前年から引き続き,射影多様体,特に(平面)代数曲線のガロワ点理論の展開と応用を行った.射影平面上の点で,その点からの点射影が平面代数曲線のガロワ被覆を与えるときに,その点をガロワ点と呼ぶ.ガロワ点とならない場合は,関数体の体拡大のガロワ閉包をとることでガロワ群(モノドロミー群)を決定する.このような状況のもと,以下の研究を行った. 1.代数曲線の自己同型群について:大渕朗氏(徳島大学)との共同研究で,群のリース積を用いてガロワ群を評価する研究を行った.これはさらに,コクセター群として実現されることが分かったので鏡映群との関係を調べた.また,ガロワ群が巡回群と対称群のリース積に一致する場合を考察した. 2.準ガロワ点の研究:深澤知氏(山形大学),高橋剛氏(新潟大学)との共同研究で,ガロワ点の概念を拡張させた「準ガロワ点」を定義し,一般的な性質を調べた.準ガロワ点はガロワ点に無い柔軟性を持っており,ガロワ点理論では調べることができなかった,クライン曲線やウィーマン曲線の特徴付けを行うことができた.現在,プレプリントサーバarXivにて結果を掲載している(arXiv:1505.00148). 3.研究集会の開催:本研究課題の補助により,6月に「代数小研究集会 in 新潟」を新潟大学にて,9月に「Workshop on Galois point and related topics」を神奈川大学横浜キャンパスにて,1月に「代数幾何学研究集会-宇部-」を宇部工業高等専門学校にて開催し,ガロワ点を中心に関連する話題について活発な議論が行われた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると思われる.研究計画に挙げた項目の内,特に,ガロワ点でのガロワ群と自己同型群との関係が明らかになりつつあり大きく進展している.また,新たに「準ガロワ点」を定義したことにより,さらに自己同型群を扱える代数曲線の範囲が広がっており,今後の展開に大いに期待できる.さらには,研究集会を開催することもでき,活発な議論を行うことができた.しかしながら,グレブナー基底の理論を援用した研究が進んでおらず今後の課題の一つである.以上のことより,おおむね順調に進展していると結論づける.
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今後の研究の推進方策 |
ガロワ点でのガロワ群と自己同型群の関係が明らかになりつつある.今後もこの方向で研究を進める.特に,興味深い群が自己同型群として現れる射影代数多様体をできる限り具体的に構成する方法を考察する.また,群論,特に群の表現論を用いてガロワ点の進化を考察する.グレブナー基底を援用した研究については,まず具体例の構成,計算を行ってみる.可能ならば一般的な性質を考察する.そして,これらのことの応用として特異点を持つ代数曲線のガロワ点問題について考察を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
諸事情により,研究計画通りに海外出張を行うことができなかった.また,研究打合せについても日程調整がつかずに断念せざるを得ず,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画通りに海外出張を行う.また,研究打合せについては早々に年間の予定を立て計画通りに遂行できるようにする.さらに,公表できる結果についてはできるだけ早く論文にまとめ,英文校正を依頼することで助成金を使用する.
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