研究課題/領域番号 |
26400058
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古畑 仁 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (80282036)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 統計多様体 / 佐々木多様体 / 部分多様体 |
研究実績の概要 |
長谷川和泉,奥山幸彦,佐藤公威,Mohammad Hasan Shahid と協力して,統計多様体とその部分多様体の研究を行った. 偶数次元の幾何学を考えると,ケーラー多様体の統計多様体版として正則統計多様体なる概念が既に得られていた(これは特別ケーラー多様体の一般化と理解できる).一方,奇数次元においては,佐々木多様体が重要で活発に研究されている.本年度の研究では,佐々木多様体の統計多様体版として,佐々木統計多様体なる概念の定式化を行った.佐々木統計構造は,従来の佐々木構造(正規概接触計量構造)に適切なアファイン接続を付随させたものである.奇数次元球面にあるアファイン接続を実際に構成して,佐々木統計多様体の例を得た.統計多様体の意味のある例としてコンパクトなものはあまり知られていなかったので,この例は貴重なものと言ってよい. さらに,正則統計多様体の実超曲面に対して,いつ佐々木統計構造が誘導されるかを考察した.リーマン多様体の超曲面論では,第2基本形式と形作用素は等価な情報を持っているが,統計多様体の超曲面論ではそれは期待できない(アファインはめ込みの研究の場合と同様な状況であるといってよい).正則統計多様体の実超曲面が佐々木構造をもつための必要十分条件を第2基本形式と形作用素のみたすべき条件として決定した.このとき,正則統計多様体が正則断面曲率一定とすると,佐々木統計超曲面もφ断面曲率が一定となることを示した.この断面曲率の概念は,統計多様体用に前年度に導入した概念である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目標は,アファインはめ込みを用いた射影微分幾何学的研究および統計多様体論的研究を行うことだったが,本年度は後者に予想外の進展があったため,そちらに集中して研究した.前者の研究に関して進展はないが,総合的に判断すると順調である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,統計多様体とその部分多様体の研究に重点を置いて行う.とくに接触構造,複素構造をもつ統計多様体について研究協力者と連携して推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
企画したミニワークショップに関して経費が予定よりかからなかったため.消耗度合いを考慮して購入を予定していたプリンタ等の備品について,使用可能と判断して更新を控えたため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究の進展のため必要になった海外の研究協力者との打ち合わせの経費に充填する.
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