研究課題/領域番号 |
26400059
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 真平 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40408654)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 曲面論 / ループ群 / 可積分系 / 調和写像 |
研究実績の概要 |
本年度は,リー群へのアフィン調和写像と三次元ハイゼンベルグ群の極小曲面に対するBernstein問題に関する研究を行った. リーマン面から両側不変リーマン計量を持つリー群への調和写像が可積分系と密接な関係を持つ事は,K. Uhlenbeck等によって知られた事実である.一つの一般化として,両側不変アフィン接続を持つリー群を考え,リーマン面からこのリー群への調和写像に類似した写像を考える.この写像をアフィン調和写像と呼ぶ.両側アフィン接続が両側不変リーマン計量から定まる場合は,アフィン調和写像は調和写像になり,アフィン調和写像は調和写像の自然な一般化となる.本研究では,アフィン調和写像が無限次元の群(ループ群)の定式化を持つことを示し,可解群に対してのアフィン調和写像の表現公式を得る事ができた.
三次元ユークリッド空間のグラフとなる極小曲面は平面に限るという事はよく知られた事実であり,このような問題はBernstein問題と呼ばれる.本研究では三次元ハイゼンベルグ群内の水平な平面上のグラフとなる極小曲面についてのBernstein問題について成果を得た.結果として,水平な平面上のグラフである極小曲面は,ひとつの正則2次微分とその2径数族によって表現されるという事がわかった.この結果自体はすでに他の研究者達によって得られていたが,ループ群の手法を用いた全く違った短い証明を与えた.さらにループ群の手法を用いる事によって,2径数族の幾何学的な意味がはっきりわかるという意義がある.
これら2つの研究成果は,ループ群のワイエルシュトラス型の表現公式を導出しそれを活用するという観点から得られたものである.従って研究目的に合致している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果として2本論文を執筆する事ができ,研究は順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
共同研究者の元を訪れるなどして,研究を推進していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打ち合わせに伴う出張の回数が当初予定していた回数より少なくなった為である.
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次年度使用額の使用計画 |
研究打ち合わせ,研究発表等の旅費に使用する予定である.
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