グロモフは測度の集中現象に基づいて,測度距離空間についての新しい幾何学的理論を提案した.これは次元が無限大へ発散する空間列を研究するのが主目的である.本研究ではこれをさらに深化させた.測度の集中現象は大数の法則の幾何学化であるが,本研究では中心極限定理の幾何学化を研究した.これは相転移現象の臨界状態として現れる.例えば,次元が無限大へ発散する球面の列に対して,半径を変えると,半径のオーダーが小さいときは集中現象が起きて,大きいと きは消散現象が起き,半径が臨界の次元のルートのオーダーのとき,ガウス測度をもつ無限次元 空間へ収束することが観測される.これを他の空間に対して研究した.
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