研究課題
最終年度に実施した研究の成果29年度は前年度の引き続きラプラシアンの本質的自己共役性の確率論的特徴付けを,Hinz氏(ドイツ)との共同研究で進展させた。特に,次の3つの条件が同値であることを明らかにした(1)ユークリッド空間から閉部分集合を取り除いた空間で定義されたラプラシアンが本質的自己共役である(2)部分集合を2パラメータ・ブラウン運動がヒットする(3)部分集合の(2-2)容量が正である。ラプラシアンの本質的自己共役性は量子力学の根幹を成す数理物理における重要課題である。特に本質的自己共役ではない場合は拡張がマルコフ性を持つとは限らない,すなわち,ブラウン運動は本質的自己共役性を決定できないことが知られている。本研究はブラウン運動を(ある意味で)二重に走らせた2パラメータ・ブラウン運動を用いると本質的自己共役性を決定できることを示しており,重要である。研究期間全体を通して実施した研究の成果本研究課題の主目的は,多様体のラプラシアンとブラウン運動の一般化である「測度空間の作用素及びマルコフ過程」の大域的理論と収束理論を発展させ,幾何学への応用をはかることである。それに関して研究期間全体を通して以下の成果を得た。(1)ディリクレ形式の保存則ならびに再帰性の決定(2)多様体の(L^1とL^2)リュービル性の特徴付け(3)多様体の一般化された保存則を定式化,リュービル性を用いた特徴付け(4)ラプラシアンの本質的自己共役性の確率論的特徴付け。これらの成果は研究課題を大きく進展させ,さらに測度空間の作用素とマルコフ過程論に関するいくつかの予想も得た。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (3件)
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