研究課題/領域番号 |
26400064
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
奥間 智弘 山形大学, 理学部, 教授 (00300533)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 2次元正規特異点 / 有理型特異点 / good ideal |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,リンクが有理ホモロジー球面になる複素2次元特異点について基本的な不変量や特徴のある複素構造をとらえることと,一般の2次元特異点の局所環のpg-ideal とよばれる準素整閉イデアルについて幾何学的な観点から研究しその理論を応用することである. 1つ目の課題に関して,スプライス商特異点の同特異変形から得られる特異点について研究した.一般に,スプライス商特異点の同特異変形はスプライス商特異点にならない.これは,ある種の関数の存在性の問題になる.まず,特異点解消空間の変形において,中心ファイバー上のある種の関数が全体に拡張するための条件について調べた.また,その条件を満たす具体例についていくつか計算を行った.28年度中には結果をまとめて論文を書きたい. 2つ目の課題については渡辺敬一氏と吉田健一氏と共同研究を行った.我々は2次元特異点の局所環の pg-ideal とよばれる整閉イデアルを導入した. それらは有理型特異点の整閉イデアルがもつ良い性質と同じ性質を備えたイデアルであり,特異点解消空間のサイクルで表すことが出来る.まず,pg-ideal の様々な特徴づけを与え論文にまとめた(受理済み).また,pg-ideal に対して,その極小節減 (minimal reduction) とコロンイデアルやコア(I の節減全体の共通部分)を与える特異点解消上のサイクルを明確にとらえることが出来た.それらを応用し,有理型特異点のコアを用いた特徴づけを証明するとともに,pg-good ideal の具体的な構成方法を与えた.これらの結果をまとめた論文は投稿済みである.以上の結果は,pg-ideal や good ideal の分類と特異点の特徴付けなど考察する際に役立つと思われる.28年度はその研究をさらに発展させたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンクが有理ホモロジー球面になる複素2次元特異点について,基本的な不変量や特徴のある複素構造をとらえるという観点からスプライス商特異点の変形を調べたが,論文にまとめるには至らなかった.しかし,一方では,2次元特異点の局所環のpg-ideal に関してはその理解を深め,応用として有理型特異点の新たな特徴づけやpg-good ideal の具体的な構成方法を与えることに成功し,2編の論文を投稿することが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
リンクが有理ホモロジー球面になる複素2次元特異点の基本的な不変量や特徴のある複素構造をとらえる研究および pg-ideal とその周辺の問題について,国内外の研究連携者・研究協力者との打ち合わせを十分に行い成果につなげる.その他にも,複素幾何やトポロジー,代数幾何,可換環論など研究対象に関わる分野の研究集会に参加し,成果を発表しつつ研究交流を積極的に行いたい.また,最新の文献も入手し必要な知識を補いながら研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の業務のため,海外出張を含むいくつかの出張の機会を失ってしまった.
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は海外出張の機会を確保し研究協力者との研究を前進させるとともに,国内で行っている共同研究についても十分に打ち合わせを行い,研究成果の発表の機会を得るようにする.これらの研究活動の旅費として経費を有効に使用したい.
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