研究課題/領域番号 |
26400071
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清原 一吉 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80153245)
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研究分担者 |
伊藤 仁一 熊本大学, 教育学部, 教授 (20193493)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共役跡 / ラグランジュ特異点 / 楕円体 / リウヴィル多様体 / thread construction |
研究実績の概要 |
平成27年度は、「研究の目的」として設定した4つの項目のうち、(ア)共役跡とカットローカスの問題、について進展があった。すなわち、「楕円体を含むある種のリウヴィル多様体の一般点の共役跡について、その構造と特異点集合の構造を完全に明らかにした」ことを主な内容とする論文: The structure of the conjugate locus of a general point on ellipsoid and certain Liouville manifold を研究分担者である伊藤仁一氏との共著として完成させ、専門雑誌に投稿した(現在査読中)。 さらに、(ア)と関連した内容と思われる論文: Thread construction revisited (やはり伊藤氏との共著)が日本数学会の欧文誌にacceptされ、現在"in press"の状態になっている。この論文においては、糸とピンによる楕円の描画が2次曲面に対しても可能であることを示した、19世紀後半のStaudeの結果を、現代的な視点から再考し、その適用範囲を大きくリウヴィル多様体にまで広げたものである。この結果はリウヴィル多様体の測地線の挙動の詳細な知識に基づいており、それは上記の共役跡の研究から得られたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の一つの大きな目標であった、リウヴィル多様体上の一般点の共役跡に関する論文を完成させることができたによる(まだ投稿段階なので、修正の可能性はある)。 さらに"thread construction"という副産物も得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の目標は、「研究の目的」の(イ)エルミーと多様体のC-射影同値の問題を、特にエルミート・リウヴィル多様体の分類問題と絡めて研究する。そこではC-射影同値の概念はTopalovによって拡張された概念に置き換える必要があるが、その概念の妥当性を探る。さらに(ウ)で挙げた、「球面に微分同相なリウヴィル多様体のラプラシアンに対する特異半古典近似」の問題を研究する。特に2次元で用いた手法がどの程度使えるかを問題とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたより、研究集会のための出張が減ったためと、図書の購入費が予定より少なかったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
国内および外国出張、研究集会開催補助、図書費に使用予定である。
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