研究実績の概要 |
平成29年度は、前年度に引き続き、 シュテファン ローゼマンと共同で以下の内容のことを研究し、それについて論文の形にまとめることができた:「ケーラー多様体において(局所的に)その測地流に1つの第一積分が 存在し、それが ファイバーごとにエルミート形式で、リー・ブラケットで可換な (1,0) 型のベクトル場の直交フレームで「対角化可能」とする 。この時、適当な非退化条件の元で、この多様体はケーラー・リウヴィル多様体となる。特にその測地流は完全積分可能となる。」 この結果の重要な点は、ただ1つの第一積分の存在の仮定から、測地流の完全積分可能性が従うことである。実の場合にアイゼンハルトによ る類似の結果があり(Separable systems of Staeckel, Ann. Math. (2) 35 (1934), 284-305)、これはそのケーラー版となっている 。この結果は現在プレプリントの状態であり、共著者との最後の調整をしているところである。 この結果の仮定において、実の場合の「直交座標系の存在」に対応する部分が、複素の場合の「フロベニウスの定理」に相当するもののありように絡んで、興味深いものになっており、本結果で採用した仮定は、その一つの提案になっているが、この点はさらに検討する価値があると思われる。また、結果においても、最終的には「実の直交座標系+トーラス作用」の形になるので、必ずしも実の場合の類似で終わるものではなく、実際に実のフレームが積分されて座標系を与えるまでの過程はこの場合に独自のものになっている。
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