研究課題/領域番号 |
26400076
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
陶山 芳彦 福岡大学, 理学部, 非常勤講師 (70028223)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | conformally flat / Cuichard net / duality / conformally invariant |
研究実績の概要 |
本年度はgenericで共形平坦な超曲面の双対超曲面に関する前年度までの成果を更に深めるべく研究を行った。前年度までの研究で、本研究代表者は共同研究者と共に「共形平坦な超曲面に対しては共形平坦な双対超曲面が存在し、特に、genericで共形平坦な超曲面の双対超曲面もまたgenericであること」を証明していた。また、次の事実も証明していた: 4次元ユークリッド空間内の共形平坦な超曲面に対して、先ず超曲面にユークリッド空間での反転を作用させ、次にその反転で得られた超曲面の双対を取る、という連続作用を行う。このとき、その連続作用において反転の中心を変える毎に共形的に異なる超曲面が得られる。更に、この反転と双対の連続作用を繰り返し行うことにより、1つの共形平坦な超曲面から無限に多くの共形的に異なる共形平坦な超曲面の系が得られる。 本年度の研究において、genericで共形平坦な超曲面に対する上の連続作用に出てくる反転と双対の各変換についての反転不変量及び双対不変量を発見した。これらの不変量は4次元ユークリッド空間への写像として定義される。更に、これらの不変量を基にして上に述べた系に属する超曲面に関する研究を行い、作用の各段階で得られる超曲面の特徴的性質、及び、高次双対超曲面に関する漸化的性質についての成果を得た。 本年度の研究はgenericで共形平坦な超曲面の分類問題を扱う上で重要な役割を果たすと思われる。このため、現在も継続して研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目標は、genericで共形平坦な超曲面の局所的存在問題と分類問題である。前年度までの研究で、局所的存在問題に関しては一般的な形での解答を与え、1917年のE.Cartanの論文以来の未解決問題を解決した: genericで共形平坦な超曲面の存在は、Guichard netの存在問題と同値であることは知られていた。本研究代表者は共同研究者と共に「Guichard netからガウス曲率が-1の定曲率を持つ2次元計量の発展が定まること。逆に、ガウス曲率が-1の定曲率を持つ2次元計量のある大きなクラスを特定し、そのクラスに属する計量からの発展がGuichard netを定めること。」を証明した。 「研究実績の概要」で述べた本年度の研究は局所的超曲面の分類問題に関する事柄である。上に述べたようにgenericで共形平坦な超曲面の作る空間は非常に大きな集合となることが分かった。そこで、分類問題においては、1つの超曲面から反転と双対の連続作用の繰り返しによって作られる超曲面の系を1つの類として捉えることが重要であると思われる。このため、1つの系に属する超曲面が共通に持つ性質を抽出することが必要となる。本年度の研究はこの出発点となるもので重要である。
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今後の研究の推進方策 |
genericで共形平坦な局所的超曲面の分類問題の解決を目指して「研究実績の概要」で述べた研究を更に進める。 また、genericで共形平坦な超曲面の大域的な研究を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度、イギリスのバース大学に出張しFrancis Burstall教授と共同研究を行うことになっている。このため、本年度の支出を抑えた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の次年度使用計画に加えて、イギリス・バース大学に2週間程度出張しFrancis Burstall教授と研究連絡と共同研究を行う。本年度未使用額はこの渡航費として使用する。
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