本年度の研究で、業績欄に掲載した共同研究者との共著論文の結果を大きく進展させる結果を得た。ここでは、先ず論文の結果を記し、その後でこの結果をどのように進展させたかを記す。 本研究の最終目標は、genericで共形平坦な超曲面の局所的存在問題と分類問題である。論文では、局所的存在問題に関して1917年のE.Cartanの論文以来の未解決問題に(ある意味での)解答を与えた: genericで共形平坦な超曲面の存在は、Guichard netの存在問題と同値であることは知られていた。論文では「ガウス曲率が-1の定曲率を持つ2次元計量の発展が、Guichard netから定まること」を証明し、この逆の結果として、「ガウス曲率が-1の定曲率を持つ2次元計量のある大きなクラスを特定し、このクラスに属する各計量の発展としてGuichard netが定まる。」を証明した。 上の論文の結果の説明で「(ある意味での)解答を与えた」と記した理由は、そこで述べたGuichard netとは超曲面の共形構造を定める3次元リーマン計量のことであり、論文の結果は、この3次元計量の空間を、よく知られている2次元計量によって決定したものである。 本年度の研究では、超曲面そのものを、曲面を通して捉えることに成功した:「上に述べた2次元計量のクラスに対応して3次元球面内の曲面のクラスが定まる」ことを証明し、更に「このクラスに属する各曲面の球面内での発展から、4次元ユークリッド空間内のgenericで共形平坦な超曲面は実現される」ことを示した。
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